イコライザー

ホームセンターで働くマッコールは眠れない夜に24時間営業のレストランで本を読むのが日課になっていた。そこで知り合った一人の若い娼婦。歌手になることが夢でアメリカに来たもののお金が無く身を売りながら生計を立てていた。ある夜、レストランで本を読んでいると顔の腫れた彼女が来店してくる。理由を聞いた彼の心の中で眠っていた正義の炎が淡くそして熱く燃えあがるのだった。
予告編↓

感想:
試写会に行ってまいりました。なので一足お先に映画を観てきました。
ドンパチ映画だと思って見に行ったのですが、内容はサスペンスアクションというか必殺仕事人とマスターキートンを混ぜたような作品ですね。必殺仕事人も日用品(紐とか枝とか三味線とか)で戦いますが。そこの部分がホームセンターで売られているモノを上手く使って戦っている感じです。
主人公のマッコールは凄い几帳面で自分の普段の動きを計測しては秒単位で確認し、モノの置き場所や動かす手順にも気を配っているちょっと偏屈な感じの男なんですが、その男が深夜のレストランで一人の娼婦と、読んでいた「老人と海」をテーマに意気投合するんですよ。
それで仲良くなってある日、少女の顔を見ると顔に痣。そして次の日には少女は入院するほどの怪我を負ってしまうわけですね。
そんな姿を見たマッコールは彼女が働くロシアンマフィアに現金9800ドルと引き換えに彼女の解放を願い出る。マフィアからすれば彼女は若く金のなる木なのでいくら詰まれても手放したくない。そして破談。そこでマッコールは元CIA仕込みの戦闘術でマフィアを皆殺しにすると少女に大金と遠距離バスのチケットを贈るわけですわ。
そこで怒り狂ったのがロシアンマフィアの親玉。何処の誰だか分からない奴に部下を殺されたままとあっては落とし前が付かないというので、トラブルシューターのテディが呼ばれる。テディは周囲のマフィアをしらみつぶしにあたっては暴力に物を言わせて犯人を探り出そうとする。
一方マッコールは、彼女を助けてからと言うものの正義の心に世間が呼応したのか同僚の実家が経営している店に元締め金をせびりにくる悪徳刑事を捕まえたり、働くホームセンターで強盗に遭遇したりと否応が無く自らのチカラで悪に立ち向かってしまう。そして彼は町が悪に染まっている事実に気づいてしまうのだった。
テディは防犯カメラの情報からマフィアを皆殺しにした犯人がマッコールだと狙いを定める。
向かう合う二つの暴力。
マッコールの精錬された戦闘術に敬意を払いながらもテディは彼を追跡する。しかし、彼を捕まえることは出来ない。
マッコールは意を決し街に蔓延るマフィアの一掃に乗り出すのだが、ソレに対しテディはホームセンターで働く同僚を誘拐して彼を呼び出そうとする。


序盤のマッコールと少女の出会いからマッコールが戦闘術を使ってマフィアを殺すまで予告だとさらっとしているけど映画だと30分くらいあるんだけど、その30分が凄く丁寧に彼の心境の変化から葛藤までを描いていて素晴らしかった。
彼女を助ける方法は、マフィアを殺すことだけじゃないのに彼が暴力による解決を行ったがゆえに街にテディが呼ばれ問題が膨れ上がっていく過程に暴力の愚かさが表現できていて面白かったわ。マフィアを殺して問題を解決した(と思った)から、その慢心によって次々に起こる問題を悩まず暴力的に解決し、それが新たなる暴力を呼んでいくとか。
結局、マッコールは暴力の根源を一つ潰すんだけど、観客は彼がまた終わりの無い戦いに舞い戻ってしまった愚かさに笑うしかないのね。
CIAを辞めて必殺仕事人になるという愚かさに。
マッコール役のデンゼル・ワシントンのアクションも良かったし、少女役がキックアスのヒットガール役の人だし見に行って損をするような映画ではないね。
時代劇みたいな勧善懲悪モノだから見終わって嫌な気持ちにはならない。
音楽がHIPHOPで微妙にミスマッチしているところはダメだったな。