殺したい自分

ビオ「第416回、ネガティブハッピー・ローリングアタックぅぅぅぅ。いやぁ、このブログも早くも416回目ですねkobachiさん」
kobachi「はい、ビオさんはいつも元気ですね」
ビオ「あらあら、kobachiどうしたんですか? 元気ないですね、夏バテですか?」
kobachi「まぁ、家に帰ってきて一息ついたら事の重大さと、将来の展望が真っ暗な事に気付きまして」
ビオ「もう手遅れですよ」
(ビオ軽く微笑む)
kobachi「そんなに明るく死の宣告を掛けないでくださいよ」
ビオ「だって、本当でしょ。どうするの?」
kobachi「し、死のうかな?」
ビオ「…………。はぁ、いつもの絶望ですか」
kobachi「だってさ、なんだかもう全て面倒臭くなっちゃったもん」
ビオ「本当に生粋のダメ人間」
kobachi「もういいじゃん」
ビオ「でも、死んでしまったら、さっき友人さんと約束した木曜の食事会どうするの? 妹さんだって、もうすぐ子供が生まれるんでしょ、どうするの?」
kobachi「それなんだよね。でも、そんな事もうどうでもいいくらいに鬱なんだ」
ビオ「みんなが悲しむ事を想像しないの?」
kobachi「想像出来ないんだ。誰かの気持ちや未来を想像できないんだよ」
ビオ「誰も信じてないから、誰も信用してないから、あなたは想像できないのよ。そう、あなたは未来さえ明日さえ信用していない。そんなあなたが誰かを思い遣ったり、希望を持って生きることなんて出来やしないよ」
kobachi「なら、どうしたらいい?」
ビオ「答えを私に求めないでよ」
kobachi「ごめん」
ビオ「もう、完璧なメンヘラね。医者にでも行って抗鬱剤貰ってカウンセリングでも受けなさい」
kobachi「ごめん、こんなダメな奴で」
ビオ「もう謝らないで、謝ったって何も解決しないし何も始まらないのよ」
kobachi「…………なら、いっそ全てを終らせても、」
ビオ「……………」
 その後、ビオは何も喋らなかった。僕に掛ける言葉を失くしたのだろうか? それとも無意味だと諦めたのだろうか? それともその両方だろうか? 僕はそんな気持ちにさせてしまったビオに対して申し訳なく胸を杭で打ち付かれた様な気持ちになった。誰かを悲しい気持ちにさせない為に生きえばいいのだろうか。僕は分からない。一年前、僕は元カノの為に生きようと思った。彼女が僕に対してどう思っていたかは今になっては分からないが、あの時の僕はそれが全てだった。仕事だって彼女が存在し、僕が仕事をしているという事に対して喜んでくれる事、ただそれだけで一所懸命に励めた。一年前の僕には分かっていた、希望を持っていた。なら、僕は一年で何を失ったんだ。何故分からなくなった。彼女がいなくなったからか? それとも居なくなった後、代わりのモノを見つけなかったからか。愛を疑ったからか。あれは恋でも愛でもなかった、そう認めたからか。分からない。
 僕は愛を信じている。ビオは僕を人間不信者と言ったが、僕は愛だけ信じている、愛は崇高で愛は気高い、愛は自殺志願者を幸福論者に変え、愛は人に目的を与え、愛は全てを赦す。僕は愛を信じている。決して愛に頼っていない。愛に過大な期待を求めていない。
僕の声はもうビオに聞こえないようだ。ビオは聾唖のように僕の方を向き不思議な顔をして首を傾げる。愛が欲しい、そう僕は強く願った。一人では決して叶わない願いを誰にも聞こえないように願った。僕は限界だった。
 旅の途中、高架下を歩くことが怖くて堪らなかった。高架下には、どの都市でも彼らがいた、家を失くして帰る場所も帰りを待つ人いなくなってしまった、ホームレスと呼ばれる人が。彼らと目を合わせると彼らは訴えてくるのだ。『いつ、こっちにくるんだ』と。僕はいつか必ずアチラ側に行かなくてはいけない気がする、圧倒的弱者側に。カウントダウンは始まっている。止める手立ては、一つだけ。