クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ』を見終わる。
あらすじ:仕事にも恋愛にも行き詰っている佐倉明日香がある日目覚めると隔離病棟で五点拘束されていた。
感想:木曜の昼間に観に行ったことが悪かった。数名の観客の方がクワイエットルームに居るべき人間じゃないかというくらいダメオーラが出ていた。もちろん私を含めて。


松尾スズキ作品と言えば、前作の『恋の門』もそうだったが、滑稽なシーンに悲しみを入れ、シリアスシーンに滑稽さをいれる。そのギャップによって観る者はその場面をより深く感じる事ができるのだと思う。
この作品は、主人公佐倉明日香がその隔離病棟で過ごす2週間で人生を見つめ直し再生する話なのだが、明日香の過去があまりにもダメながら愛おしい姿が、まるで町田康の小説に出てきそうな「頑張ってるが世界と反りが合わないダメ人間」だった。
最後の行動も、過去へと区切りをつける感動的な場面で、安い脚本家ならその逆の方法を用いて、「愛」やら「友情」等と言う演出をするのだろうが、アレが正解だ、あんな世界二度と戻ってはいけないのだ。
とにかく、この作品は『文学』だった。誰がなんと言おうと。
最後に過去に観たどうしようもない男達の映画『スキャナー・ダークリー』の最後の台詞を綴る。

彼らは最高の仲間だった。
ただ遊び方を間違えたのだ。
次は違う遊び方で幸せになれる事を祈る。