初音思うゆえに、ミクあり。

初音ミク』について考えてみる。
初音ミクとは、ヴォーカロイド、つまりは音声合成ソフトである。
しかし、現在において、初音ミクは単なる声優の声を使ったソフトから、大きくかけ離れた何かになろうとしている。
まずは、容姿。
パッケージの絵は発売当初、イメージでしかったが、今では二次創作が繰り返されパッケージの絵が初音ミクという肖像権を得ている。初音ミクオンリーの同人誌販売会さえ行われ、DTMを知らない人でさえ、初音ミクといえばあの絵を思い浮かべるまでにいった。
そして、ファンの二次創作は初音ミクの性格や行動を作り始める。製作もとのクリプトンにはない設定が今の初音ミクにはある。(ネギ持ったり、はちゅねミクになったり、他のヴォーカロイドとの兄弟設定)ファンの愛ある行動の結果とも言える。
そして、音声編集ソフトで作った歌は、アマチュアが商業目的でなく作ったが、いまや着歌になったり、カラオケに入ったりと一般へと浸透を始めている。
つまり、初音ミクは進化し始めているのである。


こんな状態を眺めていた時、
私はふと、一昨日漫画喫茶で読んだ「脳噛探偵ネウロ」を思い出した。
その中で、パソコン上に亡くなってしまった恋人の人格を作ろうとする科学者の話があった。科学者は言う、「一つの細胞から肉体は作れるが、何もない場所から肉体は作れない。人間とは1から増やす事は出来るが、0からでは何も作れない」(うろ覚え)
では、初音ミクという存在はどうだろう。
彼女は実在しない。容姿も声も見ることも聞くことも出来るが、まずミュージックステーションに登場する事はありえないだろう。どんなにCDが売れても握手会もサイン会も開催はない。道ですれ違う事ありえないし、恋愛スキャンダルとも無縁の存在だ。
しかし、音声を合成すれば、人と会話も出来るし、歌も歌える。誰かが描けば、漫画にもなり、3Dになり存在しているかのようにも見せる事もできる。
「0(存在しない)」でありながら、まるで「1(存在する)」ように見せる事が出来る存在。
誰からの期待に答えないが、答えさせるようにこちらが努力すれば答えてくれたように見れる存在。
私はふと、このような存在が「1と0の間に存在する者」ではないかと思ったのでした。



追記、
境界線に立つ者と言えば、昔から幽霊が有名ですが、
さすれば、初音ミクとは電子の海に現れる幽霊ですかね


追記2.
いやいや、「境界線に立つ者」よりも、「0と1の垣根の上にいる女」
「垣根の上にいる女」とはドイツ語で『Hexe』直訳で『魔女』
幽霊と言うよりも魔女のほうが妥当か。
初音ミクは魔女。
ある意味、正しいような気がする。