アメイジング・スパイダーマン

あらすじ:幼い頃に父と母を飛行機事故で喪った主人公ピーター・パーカーは、父の遺品の中から見つけた父の研究資料の写真に写っていた父の同僚に会うべきその研究室に潜入する。そこで培養されていた蜘蛛に噛まれ、蜘蛛の身体能力を持った超人になってしまう。



感想(ネタバレ無しver.):
サム・ライミスパイダーマンシリーズの監督から降りて、『スパイダーマン4』が白紙になってしまった為に、新監督マーク・ウェブを置いて最初から取り直した作品。
サムライミ作品よりも、主人公がヒーローへと覚醒・覚悟していく過程を、思春期の少年の揺れ動く心情と突如目覚めた能力の習得を丹念に描かれている。
サムライミ作品よりも、スパイダーマンニューヨーク市民との繋がりが多い。
サムライミよりもヒロインが可愛い。ヒロインよりも、ちょい役で現われる眼鏡っ子がガチで可愛い。







感想(ネタバレ有ver.)
スタンリーがバッチリ登場していてコーラ吹いた。
原作者が劇中に登場はよくあるファンサービスだけど、あれほど存在感を露に現われ、何事も無かったように去っていく姿は爆笑。


泣いたポイント!!
1.やっぱり死んだベンおじさん!!
ベンおじさんが死なないとスパイダーマンが誕生しないので、ベンの死は確定されているのだが、やはりベンのその不条理な死は泣けた。特に今回の死因は、本当に小物っぽいおっさんのビール六本の万引きと窃盗で殺されたので、ベンおじさんは死んでも死に切れまい。夜逃げもさることながら、万引きまで加担していた極悪ピーターはどうしようもない奴でした。まぁこのベンおじさんの死がどうしようもなくまたピーターに原因の成分が高ければ高いほど優秀なスパイダーマンが生まれるはずなので、今回のベンおじさんの死はナイスだったのかな?
スパイダーマンに限らず、アメコミってのは主人公の内包する悲劇の度合いによってヒーローの覚悟(強さ)が変わってくるので今回は良い悲劇(良い悲劇ってなんだ?)でした。

2.俺の汗まみれのマスクを被りな
リザードによって橋の上から投げ捨てられる車に閉じ込められた子供を救うために、マスクを脱いで「人間だよ」とアピールし子供のパニックを抑え、(今回はマスクをつけている重要性が低い。秘密保持も薄かったが)
「俺のマスクを付けてみな、元気が出るから」と。いくら子供にやる気を出させる為とはいえ、どない理由ヤネン!!スクリーン前で鼻で笑った俺だったが、結局、子供をスレスレで助け、父と子の抱擁を見つめるピーターに泣いた。そして、これが今まで叔父の敵討ちの為にしか正義を行ってこなかったピーターの最初のヒーローとしての立ち上がりだと気付き泣いた。

3.「ボブ、残業だ!!」

クレーンを動かして、スパイダーマンが目指すビルに道を作るクレーン操縦士のおっさん達のやる気。
逮捕状まで出たスパイダーマンを市民が変人または犯罪者としか見ていなかったが、上記の橋で息子を助けられた親父が「命の恩人が危ない」と仲間内で連絡を取り合ってクレーンを動かすシーンを泣かずに何処に泣くの??
911で「お前は何をやっていたんだ?」とバッシング
されたスパイダーマン。ヒーローの成果を無償に無努力に受け取っていた一般人が、ヒーローに対して何が出来るか。そもそも彼らが努力するのは私たちが努力しない為ではないかと動き出す。ように思えて泣けた。
この展開は、『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』に於いて、ショッカーに捕まり広場で十字架に貼り付けにされた主人公達に見守る一般人が変身ベルトを投げ渡すシーンにも取れる。
個人的に、超人であるはずのヒーローが窮地に追いやられた時に、今まで守られていた一般人達が立ち上がる展開に弱い。真のヒーローとは超人ではなく意思を持った一般人である事を表していて。


4.覆面の生身を知った者に降り注ぐ死亡フラグ
「この解毒剤を彼に…」
「お前は帰れ」
「パパは分かってない、コノ解毒剤を彼に渡さないと…」
「分かっている。彼はお前の恋人なんだろ。この解毒剤は私が渡す、お前は非難しなさい」
俺「うぉぉぉぉぉ!!!」


警部が驚くほどあっけなく死んだ。次回作の製作まで確定している現状で、初作から正体がばれた為に、今度のスパイダーマンは警察と連携をとるバットマンとゴードン的な間柄になるかと思っていたら、ただの死亡フラグだった。
再生能力持ちにショットガン連発していたが、液体窒素が足らずに死んだ。
その後の、「毒薬だと思った? 残念、解毒剤でした*1」は予定調和でしたね。散布マシーンがピーターの親父の時代からの物なのに、工程をアイアンマンのパワードスーツ並に読み上げてくれる親切さに驚いた。


「約束してくれ……娘に近寄るな」
という遺言を劇中時間にして2日くらいで破る主人公の軽さ。「守れない約束もある」とか。
単にお前が内包する思春期にありがちな「爆発しそうな性欲」に負けただけじゃねぇーか!?
これは違う意味で警部を思って泣けた。



総括して。
アクションは主人公視点の空中移動や、糸を使った素早い戦闘など。かなり進化してします。3Dで観たら迫力があるだろうなぁと感じるシーンもあります。(2Dで観ましたが、ありがちな「3Dの為の演出」は少なく2Dでも不満はありませんでした)
ストーリーも、客がアメコミなりアニメなりサムライミ版スパイダーマンを見ている事を想定した上での、物語が作られており、一見先が読める展開もありますが、それでもコチラの予想をいい意味で裏切ってくる展開もあって面白い。アメコミ原作映画が沢山ある中で、テンプレを踏みながら飽きさせないように努力し、かつ主人公の成長は丹念に描いている。(ここら編が出来ていなかったのがグリーンランタン)
ただ不満をいうなら、スパイダーマンに於ける名言「大いなる力には、大いなる責任が伴う」が出てこない。それを説明するシーンはあるが翻訳には出てこなかった。残念。
後、エンドロール後にマーベルお決まりの次回予告で、
サミュエル・L・ジャクソン扮するニック・フューリーが現われて「NYもいいけど、世界がね…」となるかと思ったら、アメイジングスパイダーマン2の伏線だけで終わった。アベンジャーズには出なくてもアベンジャーズ2には出て欲しい。


ともあれ、今年最高の映画でした。(暫定)

*1:可愛い女の子かと思った? 残念! さやかちゃんでした!的な