『カウンター事変』

「あ、あわわわわわぁぁぁぁぁ・・・。ビ、ビオランテはん!ビオランテはんはおらんの?」
コバチはあたふたしながらビオランテがいる自室へと向かう。
「何よ?今クリップ見てるんだから邪魔しないでよ。」
「そんなことしてる場合じゃおりまへんよ!僕らのブログ一日で70ヒットもしてまっせ。」
「へぇ〜。世の中物好きな人もいるもんだね。あと最初の京都弁もう破綻してるからやめた方がいいよ。」
「あ、うん。そんな事より、どうする?僕らのアホな会話を一日約70人の人が見てるんだよ。70人に視姦されているんだよ!」
「視姦って・・・。」
ビオランテは苦虫を噛んだ様な顔をしてコバチを睨んだ。
「あっ言い過ぎた。ゴメン。」
「まぁ、見てくれる人がいるならやりがいも出るじゃん!ほら、読んでくれている画面に向こうの人に感謝して♪」
「そうだね。本当にこんなくだらないブログを読んでくれるそこのあなたありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。」
「何だか年賀状みたいな文だよねぇ・・・。」
「すいません。文才なくて・・・。」
ビオランテはTVを消すと一呼吸置いたのち、コバチに提案をした。
コバチさん。こうやってお金を払ってブログを運営しているわけだし。もう今日で一か月分もブログを書いているわけだから。そろそろ真面目に書くか、リニューアルしましょ。」
「えぇ、真面目に書くのダルいよ。真面目に生きてないし、就活もしてないし・・・。リニューアルならたまにブログデザインをちょこちょこ変えたりプロフィールを書き換えたりしてるじゃん。それでいいじゃん。」
ビオランテは部屋に転がるダ・ヴィンチを掴み丸めるとコバチの頭に振り下ろした。


パコン!!


と軽い音が部屋に響いた。
「何するんだよ!痛いなぁ。」
「頑張りなさいよ。人並みに頑張れとか言わないから半人前ぐらいは頑張りなさいよ!」
「へっ、ウルサイよ。脳内彼女のくせに・・・。」
「ほらぁ、すぐすねるぅ。」
コバチはベッドにごろんと寝転がるとしかめっ面をして、TVをつけた。TVの中では『今、サンボマスターが熱い!!』のテロップが踊っている。
「ちょっとぉ、TV消して私の話を聞きなさいよ!!」
ビオランテコバチの手からリモコンを奪おうとするがコバチの目はTVに釘づけになっていた。コバチは囁く。
「さ、サンボだ。かっこいいなぁ・・・。」
「うん?あぁ、本当ね。頑張ってるわよねあのバンド。」
「俺頑張るわ!!ゆくゆくはサンボマスターになる!!」
「えっ・・・。」
ビオランテは言葉を失い、がむしゃらに何かに燃えるコバチを冷たく見るだけだった。
「ブログ、頑張るぞ!!!!」
コバチは部屋の窓を開け曇り空に向かい叫んだ。
「ブログだけかよ・・・。」
ビオランテはそんなコバチの後姿に愚痴をこぼした。


そんな気持ちの今日。