つるつるの壺

うろ覚えですが、
ロックの始まりはブルースで。そのブルースを誰が作り出したかといえば、ロバート・ジョンソンというブルース界の重鎮。では、そのロバート・ジョンソンが生まれつき、宇多田ヒカルのように1/fゆらぎがあったのか、あるいは絶対音感がありモーツアルトのように一回聞けばその曲を暗記出来るほどの才に恵まれていたのかといえば、それも違い。
ブルースを始めた当初のロバート・ジョンソンは驚くほど演奏が下手で酔っ払いから面罵・嘲罵されて意気消沈。もう田舎に帰って親父の農場を継ごうなんて諦めていたわけですな。
そんな家路に向かう途中。薄気味悪い交差点で出逢った悪魔に命と引き換えにギターテクニックを手に入れたらしいです。その後、罵倒された酒場に戻ってきたロバート・ジョンソンが見違えるほどの華麗な演奏で聴く者を圧倒したらしいです。
まぁ、真偽は本人が毒殺されて不可解な死をとげているので分かりませんが。
町田康さんはそんなロックンロールそれもパンクロックと呼ばれるモノの日本第一人者です。
17歳でデビュー後、あっさりバンドを解散して売れない毎日を刻々と過ごし、時に病になり、時に酒に溺れ、時に愛猫と戯れて、バイトして、ライブして、結婚して、作詞して、就職して、三日で就職先から逃げて……。
とにかく破天荒な人生です。
96年に書いた処女作が野間文芸新人賞ドゥマゴ文学賞を受賞して、芥川賞候補になり落選。
200年『きれぎれ』にて芥川賞受賞。
最近もまだ破天荒です。
でも、当の本人といえば自白では「普通の人」らしく。来る人来る人に驚かれるとの事。
分からん。僕には町田康人間性が分からん。
他人の散らかした物を自分が片付ける。しかし、それにより散らかした当の本人が散らかした自覚が沸かず、また散らかす。自分片付ける。散らかす。片付ける。の無限ループを考えていたら、最終的に相手を殺すか自分が殺されるかの、やるかやられるかの極地に辿りつく。その几帳面さと偏屈さ。おもろい。我執しすぎてもがく男おもろい。
そしてカッコイイ。
そんな本。
って、そんな感想あるかい!?

つるつるの壺 (講談社文庫)

つるつるの壺 (講談社文庫)