SPEEDBOY!

舞城王太郎著『SPEEDBOY!』を読了。
この作品は、『山ん中の獅見朋成雄』に於ける主人公「成雄」が主人公。といっても、続編ではなく、どちらかと言えば、その成雄が存在するパラレルワールドを描いた作品。それも短編集。
7本の短編、全てが「成雄」が主人公であり、脇役として「長谷川」「島田」「槿」「楠夏」が登場する。脇役の彼らが、ある話では仲間であり、ある話では敵となるのである。また、「白玉」という物質も殆どの作品に登場し、作品ごとに「敵」「捕まえるべき物」「愛しい人がいる場所」「何だかよくわからない物」「目標」「大事な物」と作品の要となっている。


感想、
俺は時に本物と偽者の差が知りたくなる。
何を以て、それを本物とし多くの者が逸れに対し賞賛するのか?それは賞賛されない物と何が違うのか?それらには大きな差があることは分かる。しかし、それを隔てるものが何か分からない。この作品もそんな本物である。一見文章の巧さを問えば、舞城節は粗雑なものに見える。何が言いたいのかよく分からないものもあるし、読者に不親切な内容もある。しかし、決して独りよがりでないのである。成雄を通して読者である俺は読み終えた時何かを得た。それは言葉に出来ないし、仮に言葉や文章で伝えても、これを読み方はなんと陳腐なものでしょう。と思うだろう。表すならば「熱」。40℃と書く、人によりこの40℃を熱いと思う人もいれば、温いと思う人もいる。または体温を連想して、熱がある。と思う人もいるだろう。全ての人が同じように感じるにはその40℃に接しなければならないのだ。
そう、つまりはこの本の感想を知りたかったら、お前が読んで感じたものが俺の感想だ!



って、それってすげぇ卑怯…………。

SPEEDBOY! (講談社BOX)

SPEEDBOY! (講談社BOX)


P.S
この作品『KOUDANSHABOX』というあのファウスト編集長であり、佐藤友哉を『重版童貞』と罵った太田克人氏が立ち上げた新レーベルからの出版なのだが、200ページで1200円って高くない?ハードカバーでも無いし、銀色のブックケースはカッコいいけど、コミックと同じ大きさという事は嬉しいけど。(整理が簡単だから)
それはそうと、このレーベルから滝本竜彦が『ECCO』を出すと噂で聞いたけど本当かなぁ?それと、同時期に出た西尾維新の『化物語』が何処に言っても売ってない所を見ると凄い人気だね。それに比べて清涼院流水の本が…………(以下自粛)