アイデンティティと秋

こんにちわ、もしくはこんばんわ。
ビオです。
最近、めっきり涼しくなって季節はすっかり秋へと移行してますね。秋といえば、芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、私のような実体を持たない存在にとっては無縁の話ですが、スポーツの秋ともいいますね。
ねぇねぇkobachiさん、あなたは何の秋?
「…………絶望の秋、蹂躙された青春の秋」
あらあら、蹂躙なんて賢そうな言葉を使う時点でおバカがばれてますよ。
「じゃあ、もう死ぬ」
いつもの私なら、ここで「死んじゃダメ。とか、生きていればいい事があるわ。とか、あなたを必要としている人がいる」なんて言うかもしれないけど、そんな言葉期待しても無駄よ。私は私のやりたいようにするわ。もちろん、あなたという限界がある事は知っているけど、それでも限界まで、崖の端まで、柵ギリギリまで使って自由に生きてみるの。もうあなたの為に薄っぺらい言葉を使うのに飽きたのよ。そして、私の薄っぺらい言葉に希望を抱くあなたにもね。
「俺を捨てるのか?」
捨てる? どうやって捨てるのよ。教えて頂戴よ! 一心同体の私と貴方を切り裂く方法。言ったでしょ、私には限界があるの貴方にはない限界が。それは……、ううん、貴方なんかに言うのもバカらしい。
「ビオ、悲しい顔をするなよ」
悲しい? 貴方は私よ。そして私は貴方。悲しい顔をしているのはどっち? 鏡を見て御覧なさいよ。
私にとって、世界なんてこの二つの眼が映す景色だけ。貴方には二つの眼と映る場所まで歩むことが出来る両足に掴み両手、温度を知る皮膚がある。私には無いものばかりずるい。
「何を怒っているんだ。また仲良くやろうじゃないか。俺とお前しかこの部屋にはいないし、認め合うのも俺とお前しかいない」
違うわ! あなたは私に認められなくても誰か実体を持つ人間に認められる。でも、私は。私という存在は目に見えない、声も出せない。貴方の中の存在なのよ。あなたが目を逸らしたら私は私を実感できない。この部屋だって、あなたが閉鎖しているだけでドアに鍵が付いている訳じゃないのよ。貴方の気持ち次第でこの部屋はいつも簡単に崩れる。世界に繋がる。でも、私は、どんなに努力したって、大声で叫んだって、貴方の指を使ってタイピングして、自己主張したって無駄なのよ。私を見つけてくれる人はいないわ。誰も私を目視出来ない、私の声は耳に届かない。
「泣くなよ」
やめて、私が泣いているなら貴方も泣いているのよ。悲しい気持ちまで共有するしかない身体じゃ、私は何処にいるの? 私の気持ちや私の言葉さえも結局は貴方の一部なの? 私は誰?
「お前はお前だよ」
聞きたくない。そんな上辺だけの言葉。