バニラ・スカイ

今更ながら、トム・クルーズ主演の『バニラスカイ』を観る。
あらすじ:親の遺産によって道楽しながら出版社の社長をする主人公。誕生日パーティーに現れたソフィアに恋するが、今まで付き合っていたシェリーが嫉妬し、無理心中に巻き込まれ顔を負傷する。目覚めた時から、主人公は夢と現実の区別が出来なくなる。
感想(軽くネタバレ):ともかく、怖い。幽霊とか狂気に満ちた人間の怖さでなく、『杞憂』のように「世界の崩壊」を疑ってしまう怖さがある。「あなたが今生きている世界は現実? それとも夢? 現実なら現実だと証明する手段は?」と問いたくなる怖さ。
話の中盤に謎の男の「君は全知全能の神だ。君が願ったからここに人はいるし、喋りもする」の声に、主人公は馬鹿にした声で「じゃあ、黙れと言えば……」で、周りの全ての人間が黙り、主人公の次の言動を見逃すまいと主人公を食い入るように見つめる姿は鳥肌が立った。後、必死に此処が現実だと訴える精神医が娘の名前を思い出せない辺りとか、現実の壊れ行く音がしてもうダメだ。

ともかく
この恐怖に近い作品と言えば押井守(あえて高橋留美子でなく)の「ビューティフル・ドリーマー」で、その恐怖を萌えで薄めた作品が「涼宮ハルヒの憂鬱」江戸時代版が落語の「芝浜」に当たると思います。
使い捨てにするなら「夢オチ」です。