嘘あらすじ2008上半期③

エントリーナンバー17
作品名 分裂人間
作家名 山中ふじお
あらすじ

ドッペルゲンガーって知ってる?」
音無礼子(仮名)は僕にそう訊ねた。音無曰く、ドッペルゲンガーとはこの世と対をなすあの世(死後の世界ではない)があり、あの世の存在がなんらかの歪みでこの世に現れてしまった事なのらしい。あまりに突拍子の無い発言に僕はその時信じられずにいた。

エントリーナンバー18
作品名 昨日を待ちながら
作家名 袖岡徹
あらすじ

特番でもなければ大概のバラエティ番組は二本、もしくは三本撮りが普通である。私の受け持つ番組は週5回の放送だが、10分という事もあり一度の収録で5本撮りをする。酷い場合は翌週分もこなす。深夜の三時の番組を誰が観るというんだ。私は正直仕事に嫌気が指している。「もうヤダー(>o<)と」メールを入れてプロデューサーを涙目にしてやりたい。そんな事を思っている私の元にADがいつものようにハガキを持ってくる。「視聴者からの応援?」珍しい人もいるもんだ。

エントリーナンバー19
作品名 世界心中
作家名 俊多
あらすじ

先立つ不幸をお許しください。
両親へ。僕はイジメにあっておりません。僕の死因をクラスメイトや部活のメンバーのせいにはしないでください。
警察の方へ。僕は虐待にあっておりません。また、家族が僕にかけた保険は極々普通のモノであり、殺人を疑わないでください。
安藤めぐるさんへ。僕は君の浮気を疑ったせいではありません。君はとってもチャーミングだから、僕よりも彼氏の方がお似合いだと思います。
世界の皆様へ。僕は僕個人の主義で自殺します。


エントリーナンバー20
作品名 ダメ 絶対!!(試)
作家名 篠川悠
あらすじ

小さい頃に自分の中で作り上げた神様を信じるヨウコ。酒に溺れて昼夜問わずに飲み歩くヨージ。二人は互いに何処か欠けていて、何かから逃げるように人生を駆けていた。表す言葉を書けても、掲げようとも、やはり何処か欠けている。


エントリーナンバー21
作品名 米袋と腰痛とクリスマス
作家名 木村義明
あらすじ

朝島洋一は決して清く正しく人生を送ってきたとは思っていなかった。暴力事件を起こして高校中退。24にして二児の父。バツイチ。安月給。自分にはいつでも神様から天罰が落ちても仕方ないと思っていた。しかし、目の前に惨状が天罰だとするならば、神であろうとも許せない。誰が我が家を血で染めた。


エントリーナンバー22
作品名 幕は、自分の手でひけ
作家名 井上月
あらすじ

紙面上では、私は神様だ。私のペンが走る通りに世界は構築される。人物の造形から思考まで全ては私が握っている。生死ももちろん。もし、ここで主人公を悲しまさせたかったら恋人を殺せばいい。主人公の前でバスにでも轢かれればいい。喜ばせたかったら、逆に現在の医学ではどうしようもない状態の恋人の目をさまさせてやればいい、名目は奇跡とでも付けとけ。
全てが可能なのになんで私は虚しいのだろう。