暗闇の中にみえるもの

毎度毎度、kobachiさんの精神状態が東尋坊から身を投げ出す面白ラーメンで一心発起しようとして失敗した借金苦の脱サララーメン屋の店主の如く下がってしまったので、私がしょうがなく代筆です。
世間では「(ビオ=kobachi)=キモイ」という方程式(?)が蔓延しておりますが、それはもっぱらデマなので皆さん騙されないようにご注意ください。

今朝のkobachiさんは比較的テンションが高く、ルンルン気分でコンビニにジャンプを読みに行ったり、野良猫に食べていた肉まんをちぎってあげたら、肉まんなど目もくれず、鬼にでも会ったように野良猫が逃げ去っても。「べ、別に悲しくなんてないんだからね。こんなサービスめったにしないんだからねっ!!」と男女の壁を無理矢理乗り越えて釘宮ボイスで捨て台詞を吐いたりして、一人でいながらもそれなりに楽しい一日を送っていました。
あの時までは、
夜になると、小腹が空いたと言っては、ロート製薬のCM曲(ロ〜ト、ロートロート……というハトが飛ぶCMですね。今で言うならクイズダービーの後に放送しているアレです)のロート部分を「まこと」に変えた替え歌「まこと(いつかお前をトップアイドルにしてみせるぞ。例えチートを使ったとしても、それをココに誓う!!約束する!!)誓約(する!!)」という歌を唄いながらコンビニにまた夜道を歩いていったのですが、帰る途中に、彼は暗闇を指差し酷く怯え始めました。
私が、どうしたの? と訊ねてもただただ頭を振るだけで答えようとしません。私も彼の指差す方向に目を向けるのですがそこにはただ街灯の光が届かない暗闇があるだけ。目を凝らしても暗闇の中に何かを見出す事は出来ませんでした。
「もう、俺はダメだ」
幾度となく彼が極限まで落ち込んだ時に発するあの言葉が聞こえてきました。そう、この言葉の後には私が決まってこう言うんです。
「何がダメなのよ。大丈夫よ!!」
私の言葉には根拠も魔力も説得力もない事は私自身が一番よく知っていましたが、それでも私が何か言わなければ、誰もこんな彼を慰めたりしないのです。
「お前はいつもそうやって俺に言うよな、俺に無理矢理希望を植え付けようとする。俺には希望なんて似合わないんだよ。身の丈よりも三寸小さい叶えやすい願望をかき集めてその中でその安い願望を下らない人生を通して少しずつ、美酒を飲むようにちびちび叶えていくのがお似合いなのさ」
手が付けられない……。
彼は無言の私をほって置いて言葉を紡ぎます。
「昔、受験戦争ってあったじゃん。アレでノイローゼとか犯罪に犯しちゃった人達が増えて、受験戦争が廃止されたじゃん。受験戦争とか就職氷河期の人達の事をロストジェネレーション世代って呼ぶよな。そんで俺よりちょい下辺りの年代の人達の事をゼロ世代って呼ぶじゃん。じゃあ、俺ら世代は何世代なんだよ!!!!受験(学力)という分かりやすい物差しを捨てられて、『ゆとり』だの『心の教育』だの曖昧な教育を受けてきて、高校卒業近くにセンター試験という、『結局学力かよ!!』という後だしジャンケンみたいなマネをさせられた俺たちはどうしたらいいわけ?、俺どうしたら幸せになれた? 俺が悪いの? 時代が悪いの? 時代が悪いなら俺はもうしょうがなくない?」
私はこの場に一秒たりとも居たくない。この人の声をこれ以上聴いたらきっと頭をおかしくしてしまう。そんなどうしようもない哀れな愚者の前から走り出しました。
愚者は私に何かを叫んでいましたが、聞こえなかったのか体が拒否したのか、それは音としか理解できませんでした。
誰もいない公園で涙を拭いて蛇口のお水を一口のみ呼吸を落ち着かせて、家に帰ると彼は既に帰っていて布団の中でまだ何かに怯えているようで震えていました。
もし、私に実体があったなら、そっと優しく殺してあげるのに。