幸せ最高ありがとうマジで/本谷有希子
『劇団、本谷有希子』のパルコ劇場デビュー作の戯曲。
あらすじ:何処にでもある新聞屋に若い女が訪れる。夫が不在のために妻が応対するが女は開口一番に「私は愛人です」と告げる。また、女は「私は愛人ではない」とも告げる。女の登場によって平穏な何処にでもある新聞屋が大きく揺るがされる。
感想(ネタバレ含む):
本谷有希子の作品をこえなく愛す私にとって、今作も本谷有希子らしい毒舌の効いた話であった。
言動がおかしい明里もそうだが、住み込みのバイトをレイプ(?)する慎太郎も、なんでも許す美十里も、ずれている功一も、功一を優しく見下す沙登子も、レイプされても結局愛人として住み込むえいみも誰も彼もがイカれている。そんなイカれていた人間が明里の登場までその歪さを内包し平穏なる一家庭として存在していたのだからそれを考える飛んだ恐怖の館だったのかもしれない。(まぁ、現実みんな歪だし、どの家庭にも「ちょ、これは引く!!」っていう出来事が日常茶飯事に起きているんだけどね。)
そんな新聞屋の歪さを紐解く明里。
次々と明るみにでる衝撃(笑撃)の事実に家族の絆は壊れかかる。
読んでいた俺も「これは破滅エンドかぁ」と思っていたが、そこに投函される夕刊によって世界は正常に戻り衝撃の真実に踊らされた明里のみが取り残される。
そして「ハッピーバースデー」。
最後の展開に唖然とし、しばし中空を眺め、「あぁ茶番劇だったのか!!」と閃きににも似た感想を呟いては本を閉じた。
文字だけでは満足がいかずやはり生の舞台がみたいものです。
- 作者: 本谷有希子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/27
- メディア: 単行本
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