3時10分、決断のとき

あらすじ:家族を養うため、日々を生きていくために借金をした男が、その返済をするために極悪人を隣町まで輸送する際の護衛として付き添う。しかし、その道中には極悪人を狙う人間や助けようとする極悪人の仲間が待ち構えているのであった。


感想:
21世紀に西部劇を映画館で観れるだけでも見る価値はある。
ジョジョの奇妙な冒険SBR編で「リンゴォ・ロードアゲイン」というキャラがいまして、そのリンゴォは、正当な果し合い、対等な決闘によってのみ人間は成長出来るという価値観を持っていて、そんなリンゴォが言う台詞に

「社会的な価値観がある。そして男の価値がある。昔は一致していたが、その2つは現代では必ずしも一致はしていない。男と社会は、かなりズレた価値観になっている……。だが真の勝利者への道には男の価値が必要だ」

がありまして。自分がこの映画を観ている時、ずっとその台詞が脳裏に浮かんでいました。
戦争によって足を負傷し、牧場経営は散々、息子には馬鹿にされ、奥さんには呆れられる男としての価値が低い主人公が、護衛を進言することによって自分に自信を持たせ。かつ、いままでの自分の姿を自由奔放に生きる極悪人と照らし合わせながら護衛をする姿。極悪人の自分とは違う堅気な生き方をする主人公の真の目的を知ったときの行動。
現代でもそうだが、社会的な価値と男の価値は随分離れてしまった。ゆえにヤクザ映画やアクション映画で観られる不合理的な行動こそ男の価値を上げる行為として捉えがちである点もそういえると思う。男の価値を上げれば上げるほど社会的な価値は下がる。
この映画を観て思う事は、男の価値無くして社会的な価値を築くはじつに愚かであるということだ。もちろん社会的な価値は重大である。しかし、人生とは硬貨と紙幣のみで暮らせる訳ではない。男の価値無くしては人生の勝利者にはなれんのだろうなぁ。


ともかく、ラスト10分。
屋根を走る時のラッセルクロウの台詞「走れるか?」にしびれろ!!