仏陀再誕

これは俺と強大なる教団との戦いの記述である。
10月19日。俺は某ショッピングモール内に設立された映画館に向い家を出た。
先日、脳内彼女と相談したとおりに身分を表す物は全て自宅に置き、嘘名前と嘘住所を頭に叩き込んできた。
ショッピングモールにたどり着くと、気持ちが焦る余り上映時間より2時間もはやく来てしまい仕方なく時間を潰す為にショッピングモール内の書店に向かう。
そこで俺は“奴ら”の存在に気づいた。もしかしたら“奴ら”は自宅を出た時から俺をマークしていたのかもしれないが、平和ボケした俺は書店にてやっと気づき愕然とした。
それは『書店の中に教団の団員が紛れ込んでいる』という事実である。
何故気づいたかと言えば、書店内に客が多すぎるからだ。それは娯楽の少ない田舎ではショッピングモールには活気溢れている。しかし、今日は平日の昼間である。昼間にしては客が多かった。そして、その客達は商品を買うでもなくふらつき何かを、いや「誰かを」を探しているようだった。その尋ね人はもはやココに記すまでもあるまい。
俺は教団の魔の手がここまで広がっていることに恐怖で奥歯を震わせながらも平然を装って本を探すフリをする事にした。そうだ、誰にも映画を観るとは言っていない。そして、まだチケットを買ってない身ではそのまま帰宅も可能なのだ。“奴ら”の目には俺を映っているまい。
しかし、その甘い考えはすぐに壊される事になった。
俺が書店で本を選んでいると、急に横で本を読んでいた女子高生がタップダンス如き足の動きをし、足音を静寂なる書店に響かせたのだ。
俺はすぐにはっとした。女子高生は団員であり、その軽快な足音を使い回りの教団員に俺の存在を知らせたのだ。恐ろしいチームワーク。俺は恐怖に慄き、すぐさまその場を去ろうとした。しかし“奴ら”の行動力はすさまじく、すぐさま次の計画に移行していた。
突如、書店内に『暴れん坊将軍のOP曲』が鳴り響いたのだ。音の元に目を向けると初老の婦人がハンドバックより携帯電話を取り出していた。
「なんだ、携帯か……」
俺はそう思えなかった。
それは、携帯電話に出た婦人の台詞があまりにも常軌を逸していたからだ。
婦人は携帯電話に向い、こう言った。
「うん? 今は本屋。えぇ、本買ってきて欲しいの? 今日発売のダイアモンドって本ね。わかったわ」
普通の会話だと思われるが、俺の灰色の脳細胞は違う答えをはじき出していた。
「ダイアモンド」という言葉は教団内での隠語であり、その意味は「入信させられる人間」だと見抜いたからである。
つまりは、婦人は教団幹部からの電話を受け俺の存在を知らされたのである。
俺はマークされている。もはやこの書店にいては、いつかネコ耳メイドの可憐な女性から「入信してほしいニャン」と誘われホイホイ行ってしまう可能性がある。
俺はすぐにその場を去り、文具店にてノートとボールペンを買い、ここまでの出来事を書き記し。もし俺のみに何か起き様にもすぐさま第三者にこの事態を伝えられるようにした。そして、念を押し友人に『死亡フラグ』を書いたメールを送った。
これで何かあろうとも次の芽が出る。例え俺が彼奴らの狡猾な魔の手に落ちようとも誰かが教団を打ち倒してくれる。そう俺は信じ、意を決して映画館へと向いチケットを買い劇場へと入館した。
劇場内には、先客が二人おり大きな劇場はいささか殺風景であった。
俺はいつでも逃げられるように出口付近の椅子に座り、いついかなる事が起きようともその事実を正確に後世に残せるようにノートとペンを持ったまま回りの出方を伺った。
その後、御高齢のカップルが入ってきたぐらいで特に何もなく劇場は暗闇に包まれ映画が始まった。

ストーリー:
小清水亜美さん演じる。結局、何の生まれ変わりか知らんが特殊能力持ちの天河小夜子が元カレ(cv:吉野裕行)に助けてもらいながら、創価っぽい組織に喧嘩売ったら、宇宙人の侵略があり、小夜子が宇宙船に蓮の花びらをぶつけて宇宙船を消滅させると、そこのボス(cv:銀河万丈)が怒って5万人の人質とってドームに立て篭もり、そこに子安が現れ、象に立ち乗りして光の剣でグランドクロスかまして悪霊をぶった切る話。(嘘だと思っているかもしれないけど、これマジなんだぜ。観ている俺はポルナレフ状態だったよ)最後はSSソフト並のCGグラフィックの天使が空を舞う。子安は仏陀の生まれ変わり←結論。


感想:
子安の説法がとにかく多いそして長い。
そして協賛が異常に多い。
後は千葉繁がちょい役で出てた。
突っ込み所は沢山あって、そのポイントを暗闇の中でノートに記したせいで、家に帰って読んだらもはや意味が判らない文字の羅列だった。
DVD化したら絶望だけど、これは中々見れない内容の映画だっただけにそれなりに満足というか笑えた。きっとパッションよりは面白いだろうし。
つまりは特に感想は無い。
エス・カンタ○レ!!