パラノーマル・アクティビティ

あらすじ:夜な夜な怪奇音に悩まされていたカップルが、夜中に何が起こっているかを確かめるために部屋にビデオカメラを設置すると、そこには世にも不可思議な怪奇現象が起こっていた。


感想:
昨日のテリー・ギリアムの話から繋がるが、昔テリーギリアムと伊集院光氏の対談において、テリー・ギリアムが映画の恐怖演出について、笑えるシーンの後に恐怖対象を一つ置く事でその恐怖は何倍にも倍増する。と語っていて、怖いものを並べるだけでは見ている人間は怖がってくれない。と語っていた。
それは自分も同感で、怖がらせるにしても、笑わせるにしても、相手の感情を震わせるには力技ではなく緩急を付けたり、時として無駄とも思える別の話題を取り入れる事はとても効果的だと思う。
そして、テリー・ギリアムは昨今の映画はホラー映画は怖がらせる。コメディは笑わせると目的に特化しすぎて、シンプルになっていることが問題だと言っていた。
そのテリー・ギリアムの問題を見事に体現している映画がこの『パラノーマル・アクティビティ』である。
モキュメンタリー映画である事は、予告ムービーにて「制作費なんと135万円」と銘打たれていた点で分かったが、ドキュメンタリーだと思って見る方もいるだろうからあの予告はある種のネタバレが含まれている。
思えばあの予告を見た時点で観る事を止めるべきだったと鑑賞後の今は後悔している。


簡単にあの映画の感想を書けば「つまらなかった」の一言で終わる。
予告であれだけ「怖い」事を強調していたが実際フタを開けてみれば、「怖い」ではなく「驚き」が殆どだった。物が動いたり、人が変な動きをしたりとおかしな事が次々と起きて「うわぁ、怖い」と最初は思うのだが、次第に「はいはい、夜の寝室の場面だから何か起こるんでしょ」とコチラも相手側の手の内が見え始め、その予想が見事に当たり始めるともはや退屈だけが残ってしまった。
それでも予告ムービーの後半に描かれていた場面があまりに強烈だったのでそのシーンまでは我慢しようと渋々見ていたら、その強烈なシーン(彼氏が飛ぶ所)がまさか最後のシーンだと分かった時、そしてその説明が全くされずに終わった時、自分は唖然として上映後中空を見上げてしまい、悪霊に取り付かれてしまったように動けなくなってしまった。その空虚な気持ちを前方で見ていた女子高生の「マジで怖くないよね」の一言で、劇場内は「酷い」「これで終わり?」「つまらなくない」と次々と批判の声がざわめき始め、自分はそこ知らぬ自信が湧き劇場を出る事が出来た。
とにかく、酷い映画なのでこんなクソ映画観るくらいなら、先月観た「ザ・フォース・カインド」の方が数倍面白かった。

余談
このクソ映画をスティーブン・スピルバーグがリメイクしたいと言ったのだから、あの監督はもうお仕舞いなんだろうなぁ。最近、『製作総指揮』という名義貸しばかりだし。