Dr.パルナサスの鏡

亡きヒース・レジャーに会うべく、テリー・ギリアム監督の『Dr.パルナサスの鏡』を観てきた。

あらすじ:悪魔との賭けに勝ち、永遠の命を得たパルナサスは、その代償は16歳になった娘を差し出す事。悪魔に打ち勝つ為には、パルナサスの頭の世界で欲望に打ち勝つ人間を5人探し出す事。その5人を探すべく旅をするパルナサスの前に首を吊った男が現われる。



感想:
カウボーイビバップのフェイが言っていた、
「たまに思うわ、ソンな性格だって。時々思うの、これじゃあいい男が逃げちゃうわって。まあ、でもこれがアタシなんだからしょうがないわよねえ。別人のように振る舞って「あたしぃ、こう見えても結構家庭的なんですよぉ」なーんて言っちゃって、一時うまくいったとしても、後で苦労いや、もとい後悔するだけ。このアタシ、そのままのアタシがいいって言う人じゃなきゃやだしネ。まあアタシの相手をすんのも大変だと思うんだけど、宇宙のどっかにそんな運の悪い男もいるでしょ」
この映画を観終えた時は俺は心底テリー・ギリアムとは偏屈なおっさんだと再確認した。
観てきた人は分かると思うが、後半から結末にかけて内容が難解になっている。出だしが寓話のような雰囲気なのだから、悪人が改心して全ての人間が笑えるラストを持ってくれば、きっと観ているカップルなんか大満足だろう。もっと興行収入も得られるだろうと僭越ながら思ってしまった。
しかし、すぐにこれがテリー・ギリアムなのだろう。と思った。
上記のフェイの言葉のように、自ら自分をアホで損な役回りだと分かっていても自分を偽らないおっさんだからこそ、俺はテリーギリアムの作品が好きなのだと思った。
だから、ラストのシーンで店内に足を踏み入れない主人公は、そこに安易な幸せの形が在ろうともあえて選ばない監督自身と被らせ涙が出た。
凄く良い映画だったが、きっとヒットはしないだろう。
だから、俺はそっとテリー・ギリアムを応援し、この映画がブルーレイで出たなら購入しようと固く誓った。



追記1.
世界を終わらせない為に物語を語る雪山の話とか良かったな。
後、警官勧誘ソング。