第9地区

あらすじ:20年前、突如ヨハネスブルグ上空に現われた宇宙船。征服宣言を掲げるでもなく攻撃を仕掛けるでもなくただ上空に漂う宇宙船に地球人は戦々恐々としていた。意を決し宇宙船への潜入するとそこには栄養失調の宇宙人が大量に横たわっていた。行き場の無い宇宙人達の為に政府は宇宙船の真下に居住区を作りそこに隔離したのだが粗暴な宇宙人によって第9地区(居住区)はスラム化してしまった。



感想(軽くネタバレ):
移民問題」をSFにて表現した作品。
まず、驚いたのがこの作品がただのSFではなく、ホラー要素があったり銃撃戦などのアクション要素があったり、宇宙人がキャットフード好きや反抗する人権団体など笑える要素もあり、もちろんさっき書いた社会問題があったりといろいろな側面で観る事ができると言う事。ドキュメンタリーっぽい演出で始まったと思いきや、人体がエイリアン化していく主人公の恐怖と主人公を使って人体実験を始める会社などホラー要素が交じり合い始めるシーンなど、次にどうなるか展開の読めないストーリーで観ていて飽きなかった。特に最後のシーンまでの流れは、アクション主体でアメリカ映画らしいといえばアメリカ映画らしいのだが、なんとも考えさせられる終わりであった。
先日、新聞を読んでいたらオバマ大統領の火星有人探査計画に『地球にまだ飢えた者がいるとき、火星に人類が一歩をしるしたからといって、何の意味があるのか』と苦言があったと書いていて、その時は、「それとこれとは話が違う」と思ったが、この映画を観た後だとそうとは言ってられない気持ちになる。