グリーンランタン/グリーンアロー

あらすじ:ガーディアンから地球を守護するように任命された「グリーン・ランタン」と弓術を用いて町を守る「グリーン・アロー」の二人がタッグを組んで社会問題に挑む40年位前にアメリカで出版されたアメコミ。


感想:
アメコミというと、悪さをするスーパーヴィランの元にヒーローが現われてヴィランを退治するのが大筋というか、一般的なアメコミ像だと思うが。今作では、グリーンランタンとグリーンアローの二人が、現代に蔓延る社会問題、人種差別や麻薬、公害、人口爆発などに切り込んでいく上記のアメコミ像を払拭させ、アメコミを子どもの読み物から大人の娯楽へと読者層を増やした名作である。
ほぼ一話完結で30〜40ページなのでさくっと一話が読める。内容も子供向け雑誌に掲載されていただけにテーマこそキチッと描かれるがオチはあっさりとしたものが多い。
現代では在り来たりになったヒーローの一般人殺しやヒーローの薬物中毒(薬物中毒は在り来たりじゃないけど……)が当時ではかなりセンセーショナルだった模様。
感慨深かったのは、悪徳大家に立ち退きを責められている黒人がグリーンランタンに言う。

黒人「あんたは青い肌の宇宙人に仕えてるって新聞で読んだよ。オレンジ肌の宇宙人を助けたともね……きっと紫の肌の宇宙人も助けてくれるんだろうよ。でもな、少しでも考えた事があるのかね……」
グリーンランタン「?」
黒人「黒い肌の人間のことは?どうだね……答えてくれよMr.ランタン
グリーンランタン「そ……それは」」

ここで、何も言えないグリーンランタンが己を省みて、正義とは命令を卒なくこなすのではなく、ただ目の前の暴力から人を救うのではない。もっと根本的な問題を解決しなくてはいけない事実に気付くんだよね。


アメコミをあまり読んでいない方が最初に手にするのはちょっとハードルが高いので、数冊読んで「アメコミってそうゆうもんね」と達観した気持ちになっている方(私のような)にはお勧めの作品です。でも、エンターテイメント性は薄いよね。

グリーンランタン/グリーンアロー (ShoPro Books)

グリーンランタン/グリーンアロー (ShoPro Books)

余談。
これが私にとっての初めてのグリーンランタン本だったのだが、方々や他の作品より「グリーンランタン最強説」を聞かれていたが、本作でのグリーンランタンのメンタル面の弱さというか馬鹿さに呆れた。
後、付録に書かれている。人口問題。1968年に「人口は10億から20億人が適正であり現在の36億人(当時)は飽和状態である」という学説、現在2010年に69億人になっているとは夢にも思うまい。


余談2.
9月10日からグリーンランタンの映画が始まりますが、これを皮切りにDCユニバースを作る計画があるらしいが、どうなるんでしょ。