戦姫絶唱シンフォギア 第三話「夜にすれ違う」

世間の一部じゃもう第四話を放送していて、その途轍もない展開に喜んだり嘆いたり笑い転げたりしているらしいけど。辺境の土地じゃ地上波で放送すらしないんだ。だから、まぁ第三話の感想。



あらすじ:響を奏の代わりと思い込むことが出来ない翼は響に対してそのジレンマから戦闘を申し込む。二人の戦いは司令官の仲裁によって回避されるのだが、一ヶ月経っても二人は意思の疎通が出来ずにいた。


感想:
過去放送の夜電波を聞いていたら、近田春夫さんが「飽きられた奴が悪いんだよ」と言っていて、近田さんは兎に角、自分にそして他人に飽きられないように常に新しいものを探して音楽製作をしていると語っていた。
これを聞いてふと、この「戦姫絶唱シンフォギア」が他のアニメに比べて酷く特出している部分があることに気付く。
それは終わりの引きである。
日本のアニメは一話完結のものが多く、義務教育から「ストーリーの基本は起承転結だから」と口すっぱく教わってきたお陰で、アニメに限らずドラマも一話でそれなりの解決をする。全ての伏線は回収されずとも、各話の終わりでは当面のトラブルが解決しそれなりに落ち着いた場所に着陸する。それに対して、海外ドラマというのは、なによりも視聴率を取る事が大事であり、その為にはシリーズ構成を壊し、殺す予定の無い人物を突如殺して物語に荒波を立て視聴者の気持ちを掴む。次の週も同じ番組を観て貰うためには物語が破綻しようとも如何なる手段をも辞さない。
シンフォギアはそのような海外ドラマのような引きで終わる事が多い。一つの問題が解決しようと思わせて新しい荒波を作って視聴者が「この後どうなるの?」と不思議(興奮)がらせて終わらせる。
第一話は響が敵に囲まれて初変身する瞬間で終わる。それも変身はあたかも暴走のように描写され響と少女の行く末を不安がらせる終わりとなっている。*1
第二話では、現われたノイズを響と翼が殲滅し、響から翼へ共闘の意思表示をした所で翼から私闘を言い渡される事で終わる。二人は戦うのか?それとも……。視聴者は二人のバトルを夢見て来週を期待する。*2
第三話の終わりでは、第一話で起動実験をしていたネフシュタンの鎧を纏った謎の少女が登場して終わる。*3
このように近田春夫さんではないが、このアニメは視聴者を飽きさせない事に特化した作りとなっている気がする。いかに飽きさせずに30分視聴させ、なおかつ引きを膨らませて次回につなげる。これは考えすぎだが、作画崩壊もその作画のおかしさを視聴者が指摘する為に画面を食い入る事によって視線を他へ動かせまいとする効果を狙ったわざと……の訳は無いな。


第三話の「おもしろシンフォギア」はなんと言っても台詞回しだよね
風鳴翼は幼少時からシンフォギアの適合者として厳格に育ったというバックグラウンドがあったとしても。やはり一介の女子高生が以下の言葉を吐くのはちょっと違うと思うんだ。

  • それは常在戦場の意志の体現。あなたが何物をも貫き通す無双の一振り『ガングニール』のシンフォギアを纏うのであれば、胸の覚悟を構えてごらんなさいッ!
  • 覚悟を持たずにノコノコと遊び半分で戦場(いくさば)に立つあなたが、奏の、奏の何を受け継いでいるというのッ!
  • 泣いてなんかいませんッ!…涙なんて流していません。風鳴翼はその身を剣(つるぎ)と鍛えた戦士です。だから…
  • 私は剣(つるぎ)。戦う為に歌を歌っているに過ぎないのですから
  • 怒ってなんかいませんッ!…剣(つるぎ)にそんな感情など備わっていません

どんな美少女でも、自分の事を剣と称したり、「戦場」を事あるごとに「いくさば」と読んだり、中二病というより軽いメンヘラな女子高生。
翼は育った環境が特殊だからこれほどの変人でも許せるんだけど、今回は暴走した(?)響のセリフもまた近年の女子高生が絶対に言わないような言葉と化していた。(以下)

  • あんた達が誰かの約束を侵し、嘘のない言葉を、争いの無い世界を、何でもない日常を、剥奪すると言うのならッ!

確かにこんな年に成ると今時の女子高生と話すためには極楽山本さんくらいの気迫が必要になるために女子高生の実態をちゃんとは掴めていないが、俺が高校生くらいの時の女性同級生は「剥奪」とか使った験しがなかったぜ。


総括した第三話の感想。
「司令が戦えばいいんじゃないか」という問いを多く観たが、「ノイズは触れた人間を炭化する」って説明があったじゃないですか。だから司令がいくら強くてもノイズとは戦えないらしいです。司令が響の脚を持って響を武器のように振り回せばいい気がするが、何かあるんでしょう。ちなみに司令のアレを見た時に私は不動GENよりも静かなる中条の方が浮かんだ
アメリカの陰謀」「安保」などが囁かれるシーンでは「やはりエヴァ破で2号機が凍結されなければいけなかった流れ」を思い出す。思えば、漫画版エヴァではゲンドウがATフィールドを貼って戦っていた。戦う司令、司令本部の地下に完全聖遺物が眠りそれを狙ってノイズが現われる。シンフォギアは世界観をまるっきりエヴァから拝借しているだけでは……。まさか……。さすれば、新しい戦姫の中が未来でそれを知らずに響が……はありそうだな。
敵の出待ちは、もう三度目になると「いつも敵は動きの無い一枚絵で現われて、もしかしてスタッフが未だに敵の登場の仕方が思いつかないだけなんじゃ」と勘ぐってしまうだけでもう驚きは無い。
新戦姫の登場には、第三話でこのスピードだと終盤だれそうで怖い。
「天ノ逆鱗」は飛んで投げた剣を巨大化させて剣を踏みつけながらのライダーキックは凄くかっこいいので本家の東映は是非パクって下さい。お願いします。

*1:第二話の始まりでは暴走しなかったが。これも視聴者サイドの思惑から話をずらして意表を突く事を狙ったのだと思う

*2:ここでも司令官の仲裁によって二人は戦わない。第一話と同じように視聴者の読みをずらした流れである

*3:場面こそ変わっているが、戦い合おうとする二人という図は第二話の終わりと同じである