戦姫絶唱シンフォギア第四話「落涙」

あらすじ:突如現われた鎧の少女。少女の纏う鎧が奪われた聖遺物『ネフシュタンの鎧』だと分かった翼は、謎の少女に戦いを挑むのだが、


感想:メガミマガジンの脚本担当の金子彰史氏インタビューによれば、第一話から第四話は「響覚醒編」という一つのテーマがあったようです。
そう言われると、

第一話で響の覚醒:起
第二話で響の初戦闘と組織や世界観の説明:承
第三話で響と翼の確執の露、響暴走:転
第四話で響の挫折、翼の思いを知り覚悟を決意:結

と、30分で区切るのではなく四話を一つの物語と取ると、いい塩梅になっている。


第四話、変則OPで始まり、奏の過去が明らかになり、奏が復讐から奏者を望み、薬物による人体改造によって無理矢理シンフォギアを操っていたという衝撃。これは中編で絶唱を歌った翼が一命を取り留めた事によって、視聴者の「絶唱=死」という間違った認識に矛盾が起きてしまうことへの布石でした。「奏は薬物による人工奏者であり薬で身体がボロボロだった為絶唱に耐えられず死」事に対して、「翼は天然の適合者であり身体が丈夫だった為にどうにか生き延びた」というのが大概の解釈です。私もそう思います。
そして、謎の少女*1のチンピラ喋りと翼の武士喋りのなんともカオスな掛け合いの戦闘、製作会社がエンカレッジフィルムズからサテライトに移行したことによって、いままでのような目に見えた作画崩壊が無くなり戦闘シーンは予想以上の迫力でした。個人的には『逆羅刹』からの『千ノ落涙』を技カット無しに続けて放ち群がるノイズを駆逐し『蒼の一閃』でノイズを倒しつつ後方にいる謎少女
まで貫通させて接近のシーンが良かったです。テンポが凄く良い。その前の、翼の横蹴りを腕で防ぎ絡ませて投げて着地地点に先回りして頭を踏むっていうのも好き。金子節に意識がいきがちですが今回は戦闘シーンが実に良かったと思います。30分の中で随分な力を入れたように思えました。
後半は負傷した翼に代わって、響が翼の過去と翼の偉大さ、防人が背負うべき責務を痛感して自己鍛錬に励むという変則EDではギャグシーンを入れつつも上記で金子さんが言っていた「響覚醒編」の大きなまとめが行われました。第三話ラストで発した「私だって守りたいものがあるんです」を第四話で再度「私だって守りたいものがあるんです」と使う事による響の内面の変化表現は簡単ですが実に効果的だと思いました。軽く泣きました。


今週シンフォギアについてふと思った事は、
偉大なコメディアンである江頭2:50さんの名言でこういう言葉があります。

「これをやったら次回でられなくなるんじゃないか」
なんて考えないようにしている。
人間いつ死ぬか分からないから 、
その時の全てを出し切りたいんだ。
俺はいつ死ぬか分からないし、
見てくれる人だっていつ死ぬかわからない。
視聴者が最後に見た江頭が、
手抜きの江頭だったら申し訳ないだろう?

このアニメのシナリオとはようはこの江頭名言ではないか。
第一話の始めから主人公の死亡宣告から始まり、味方同士が戦ったり、主人公達よりも強い司令がいたり、主人公が暴走するような描写で終わったら次回では暴走せずに始まったり、喋りが武士だったり、喋りがチンピラだったりetc.
このシナリオ自体が2クールの予定で組まれていて、結局1クールしか取れず脚本家の金子さんが一週間で仕上げたという裏話があるものの、それにしたって粗というより特出すべき点が多すぎる。
それもこれも、江頭名言のように「このアニメは一話一話で出来るすべての演出を組み込みたい」という熱意。「第二期に期待したり、出し惜しみしたり、こんな風にしたら誰かに怒られるかもしれない、視聴者にバカにされるかもしれない」という負い目に一切囚われずに作られているように思えた。
そうなければ、絶唱を歌った翼が血涙を流したりする訳が無い。あれはどう考えても過剰演出だと思う。しかし、インパクトがあるのである意味正解なんだろう。「注目を引く」というのはアニメを売る上で一番大事な事だが、そうゆうことを前面でやると「下世話だ、恥ずかしい、ストーリーで魅了させろ」と叩かれる風潮があるから、なかなかそのような思い切った行動というのは取りづらい現状でよくもまぁ、血涙を流したものだと思う。(響に掛かった粘液の色についてもアレだが…)


「戦うことを恐れず でっかい気持ち さあ 突っ込め このエナジーは 100%全開 握った夢をぶつけよう 涙なんて流している暇は無いから 守るべきもの 私にはあるんだ」と響主題歌『撃槍 ガングニール』で歌っている。この歌詞がスタッフの性根だったら嬉しい。

今後について、
謎少女が響を求めたのは、完全聖遺物とは奏者の身体を乗っ取るまたは毒するような副作用がある為に、聖遺物を体内に内包しつつも普通に生活し、奏者として覚醒も出来る響に興味があるのではないか。
未来の響への思いが、募り過ぎている。未来が奏者となるのか、それとも響の日常面でのなんらかの荒波が起こるのか実に楽しみ。


余談。
シンフォギアキャラクターソング第一弾「ツヴァイウイング」がオリコンウィークリー6位だった模様です。
私もiTUNESにて購入させていただきました。
「逆光のフリューゲル」は第一話とは少しだけ違ったアレンジになっています。

戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング1 ツヴァイウィング

戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング1 ツヴァイウィング

キャラクターソング第二弾では主人公の「立花響」。2/29発売。
今回のEDである「撃槍 ガングニール」が収録されている模様。
戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング2 立花響

戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング2 立花響

キャラクターソング第三弾では「風鳴翼」
あの「アメノハバリキーヤーヤー」でおなじみの「絶刀 天ノ羽々斬」が収録される模様です。
戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング3 風鳴翼

戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング3 風鳴翼


第四弾はネフシュタンの鎧だろうねぇー。まだ歌聴いた事無いけど(ED以外で)

*1:監督がツイッターでクリスと暴露していたが