なんとなく大人になるんだ。(銀杏BOYZ)

ブログ33回目
今日は二部構成で行きます。(気分的に)


第一部.
『青春』って言葉が好きだ。
なんて書いたなら、「うわ、こいつキモい〜。」なんて思われるだろうが、青春モノは好きだ。青春をテーマに描かれた映画や漫画、青春時代の葛藤を歌った唄が大好きだ。どんなに壮大な金のかかった恋愛映画を見るよりも、高校生が主役のアクション映画を見た方が感動するし、安い愛を唄ったビジュアル系のバンドやアイドルのラブソングを聴くよりも銀杏BOYZサンボマスターガガガSPのようなムサい男の叫びを聴いた方が心にグッとくる。キレイな写実的な絵画を見るよりも、美術室に置かれた誰が描いたか分からない女性の絵の方が素晴らしいと思う。一億冊売れている漫画よりも小汚い絵なのに言いたいことがある漫画のほうが読んで為になると思う。
もしかしたら、単に自分とその作品の主人公を照らし合わせて感動しているだけかもしれない。22歳だから感動しているだけで、社会に出ればこの感性も少しずつ劣化していき40歳にもなれば「最近の若者はバカばっかりだ。将来の事を何も考えていない!!」なんて飲み屋で同僚に愚痴るおっさんになるのかもしれない。嫌だなぁ。
最近読んでいたロッカー作家のみなさん(町田康大槻ケンヂみうらじゅん、)は、そんな大人にならなかったカッコいい子供代表だ。いくつになってもロックを愛してバンドを結成してはどこかのライブハウスで唄っている。CDを出しても決してオリコンの上位には名前は出ない。でも、確かにどこかで彼らは自分のロックを信じて唄を叫んでいる。子供の頃見た夢を三十代、四十代になっても変わらず歌っている。なんだかカッコいい。愛すべき子供代表!!
先日ラジオで長渕剛さんのインタビューを聞いた。司会者が長渕剛さんに7万人の観客の前で行なわれた桜島ライブは何故、どうゆう気持ちで行なったのか?との質問に長渕剛さんは「桜島が爆発してその横で俺が歌っていたら爆笑だろ!!」言った。この人もどうやらカッコいい子供代表だ。
そんな人たちになりたいにゃ〜。
楽器で出来ないけど。




てことで、第二部。



『夏の夜』
「あぁ、夏が終わるね。もう気付けば9月だよ」
コバチは縁側に座り、夜風に振られながら猫を撫で横に座るビオランテに話す。
「そうだね。そろそろ扇風機片付けなきゃ・・・。」
「すぐに秋が終わって冬が来て、春になってまた夏・・・本当に一年なんてあっという間だよね。」
「どうしたの?黄昏てんの?」
ビオラン手は少しニヤケながらコバチをバカにしたように話す。
「そうゆうんじゃなくて・・・そうやってすぐ一年が過ぎて、年月が進み、僕らは大人になるんだねぇ。」
「まぁ、22歳は十分大人だと思うけど・・・。」
無言になってしまった。何処からか鈴虫の音が鳴り、猫がコバチの膝から飛び降りると走り去った。
「行っちゃったね。」
ビオランテは猫の走り去る姿を見ながら囁く。
「あぁ、いっちゃったね。・・・コレは独り言。いとこのA君は絵が好きで美大に入ったのに来年食品会社に就職するんだって、中学時代のN君はアメリカに留学したらしいよ。Mちゃんは考古学者になるんだって2浪もして大学に入ったらしいし、幼なじみのO君は茨城の大学院に行くんだって。Iちゃんは海洋学者になるんだって沖縄の大学目指して頑張っているし、Kさんは一昨年、暴力団に入ったらしいよ。昔から野球選手になるだって言っていたT君は夜中壁当てを一人でずっとしていけど、どうやら親父さんの仕事を継ぐらしいよ。みんな笑っていたけど本当にそれでいいのかなぁ?体の何処かが痛いのにそれを我慢しているように笑っていたよ。本当の自分はここにはいなくて、今いる場所は架空のモノだって言いそうになっていたよ。なんでだろね?」
ビオランテコバチを心配そうな顔で見つめる。
「な、泣いているの?」
「泣いてねぇーよ!!そう簡単に泣くかよ。ただ、なんとなく寂しくなっただけ。」
コバチは泣きたかったがビオランテにそう言われたら、女性の手前涙を見せるわけにはいかなくなっていた。涙をぐっとこらえた。
コバチは星空を眺めながらゆっくり唄を歌った。
「♪君の名は必ず叫ぶから僕の事信じてくれないか。あふれだす涙の日々はただ月に咲く花のように僕ら送ろうぜ♪」
サンボマスターの『月に咲く花のようになるの』ね。いい歌よね。主題歌に使われた松尾スズキの『恋の門』もよかったよね。」
ビオランテも昔を懐かしむように空を見上げて言った。
「人が一番恐れる事は他人に忘れられる事なんだって、忘れられて勝手に思い出にされる事なんだって、思い出にしたらどんな事もその人が感傷的に美化してしまうから何処か嘘になる。あの頃の記憶は何処にも存在しないだ。」
「ふ〜ん。そうなんだ。でも人間だもん忘れる事は仕方ないよ。」
「でもさ・・・。あっ、いや、いいよ。昔、10年前にみんなで描いた未来はこんなモノじゃなかったのになぁ。僕らが望んだ21世紀はもっと明るかったのになぁ・・・。」
コバチは愚痴をこぼしながら、中庭に降りると車道に向かいとぼとぼ歩いていく。
「ちょっと、何処に行くの?」
ビオランテコバチの背中に訊く。
「コンビニ・・・。」
コバチは冷たく言い捨て闇の中に歩いていった。
僕らはなんとなく大人になっていくんだ・・・。木々が成長するように、塵が積もって山になるように少しずつ大人になっていくんだ。かわいいあの子も面白いアイツも彼も彼女も・・・みんな大人になるんだ。知らぬ間に大人になるんだ。
ぼくはいつまでも可笑しく生きていたいんだ。


≪引用≫
銀杏BOYZの「僕らはなんとなく大人になっていくんだ。」
サンボマスター「月に咲く花のようになるの」
サンボマスター「Oh ベイビー」

そんな感じの夜。

追伸、気付けば100ヒットを軽く突破☆これも皆様のおかげです。ありがとうございます。今後ともごひいきにお願いします。あと、プロフィールからメール送れるようにしたんで、ご指導ご鞭撻ありましたら是非お使いください。