ブラウン・バニー

ヴィンセント・ギャロバッファロー’66以来の監督兼脚本兼、主演、音楽の作品。
バイクレイサーの主人公のバドが失った恋人との過去を引きずってウジウジする話。
バッファロー’66を見て、お洒落恋愛映画と感想を述べた自己顕示欲が高いサブカル大好き、人と違う物を持つ事がオリジナリティーだと思っている女子高生やファッション系専門学校に通う女子はまず見ないほうが良い。
はっきり言って、通常の人ならつまらないと思う。
俺も一回目はつまらな過ぎて眠くなった。
しかし、DVDに収録されているギャロ本人による映画解説を聞きながら二度目の鑑賞はちょっと思いが違った。
男の寂しさが全面に溢れていて凄くハードボイルドな作品だ。彼女は酷くバカだけど、まぁ現実の女子ってこんな面がどんな奴にも在って。いや、男だってそんな俗性を持っているけど。
とにかく、バドはいろいろと彼女を忘れようと動くんだけど、結局は彼女の事を忘れなくてどれも失敗する。でも実際に彼女に会えばどうしても許すことが出来い。相手の事を思っての叱咤もなんだか虚しくて、拒絶するわりに本当に消えてなくなったら実家に乗り込み所在を尋ねる。恋はした者が負けだね。

解説を読んでいると解説は日本版の為に喋っている。先日死んだ友人を弔ったり、自分の映画に対するスタンスや演出方法、最初の方に「俺は世界一醜い」とか言っていると自虐から始まったと思ったら、劇中しばしば女性評論家とカンヌ映画祭ブーイングの批判を述べたり、「エロいシーンが撮りたいなんて思ったことが無い」これを見てAVとかいう女性評論家はバカだとまた女性評論家に毒つく。「あいつらは大学時代に小説家を目指していたくせに結局成れなくてあんな所に落ち着いたダメな奴」だとか。カンヌ祭のブーイングだって、「俺は昔から両親からブーイングを受けてきたからブーイングには慣れっこ」とか言っていたくせに終始、「ここでブーイングが始まった」「ここで劇場から半数が席を立った」「ここで誰かが歌いだした」「ゴミをぶつけられた」「”殺せ”と観客に言われた」と時間が経つごとにコメントするし、最期の方には「俺がおかしいのか?」とちょっと不安に駆られている。
ギャロ可愛い。そしてカッコいい。
もちろん、本田透の「電波男」に書かれた様に今回もヒロインは脳内彼女だった。
バッファロー’66には笑いがあったりアクティブに動く主人公がいるけど。今回はのんびりとしたものなのでこっちもこっちでいいと思う。

ブラウン・バニー [DVD]

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ps
文芸春秋のHPにて三浦しをんの声をはじめて聴いた。
意外に美声だった。でも終盤から誰かが死んだようなそしてその者への別れの言葉を思わせる声の重さにちょっと引いた。
Boiled Eggsは滝本竜彦さん目当てで見ていたが、最近は三浦しをんさんの方が好きになりつつある。あとメイドマガジンとか……。