俺は怒る。

本当にムカつく。いや、それを越えて笑えた。
佐藤友哉さんってなんでこんなに面白くない小説を書けるんだろう?
とにかく、読了したので感想。
一応短編集なので個別に評価。



「大洪水の小さな家」
あらすじ:突如洪水に飲み込まれた家。どうにか屋根に逃げ出した春兄と文男は、まだ家内にいると思われる妹を助ける為に沈没した家に潜る。
感想:三兄弟って何故必要だったの?兄妹でよかったんじゃないの?文男の必要性って?
とまぁ、そんな謎は最期に残りましたが。この作品家が洪水にあうという無茶苦茶な設定から始まるのですが、内容は他人がいなくちゃ自分を確認出来ないっていうけど俺は出来る!ってテーマだった。佐藤友哉節全開な作品でした。これは面白いよ。


「死体と、」
あらすじ:最愛の娘が死んでしまった。エンバーミングをして綺麗な体にしてあげよう。でもその葬儀中に霊柩車が事故って……。
感想:段落無しにイッキにスピードを出して書かれている文。死体が主人公だけど死体だから一切喋らなくて死体目線で話が進む。病んでる人の元から病んでる人に運ばれる死体。発想は面白い、ただ文章に飽きる。もう少し凝った文章にしないと長文を読む僕は飽きてしまうよ。後、読んだ後になんの情感も湧かない。病んでる人から病んでいた人に渡されたらどうなったのか?また、死体が渡った事で病んでしまう人を長期的に描写して欲しかった。まだまだ読める。


「慾望」
あらすじ:生徒が急にサブマシンガンを振り回して教室を占領しちゃった。担任の私はどうにかして彼らを理解して止めなくちゃ……
感想:ここが限界だった。まず一章の文体が出来ていない。何故主語の「私」を付けなったのか分からない。それゆえに2行目の文が壊れている。壊れた文に違和感が溢れた。その後、理由無いテロを行う生徒を理解できない担任。担任の「なんでこんな事したの?」の問いに、「理由が無い。したいと思ったからした」という思考停止な言葉を吐く生徒共にイラついた。人間意味もなくテロってはいけないなんて、みんな知っている。
何故って?自分が他人から無意味に殺されたくないから。そうだろ、人に殺されたくないから俺は殺さない。そんな事に意味とか理由とか探すな!!
あと、いくら突飛な事だからって普通クラスメイトが蜂の巣に撃ち殺されたら、人間逃げるだろ?実感が湧かないなんていうのはよく小説で使われる手法だけど実際は逃げるぜ。サブマシンガンを見た所では逃げなくても、クラスメイトの死体を見ても毅然としていられるほど人間と強くないよ。


「子供たち怒る怒る怒る」
あらすじ:過去の呪縛から逃れるため転校した神戸の小学校では、奇妙な遊びが流行っていた。「牛男」と呼ばれる猟奇連続殺人鬼の、次の犯行を予想しようというのだ。単なるお遊びだったはずのゲームは見る間にエスカレートし、子供たちも否応なく当事者となっていく(帯より抜粋)
感想:酷い。容疑者は悲惨な過去を負っているというだけで殺人を容認されたらたまったもんじゃない。最近の事件でもそうだけど、リストラされたとか、虐待されたとか、レイプとか、家庭環境とか、稀有な能力とか、迫害とか、部落とか、そうゆうバックボーンがあったとしても殺人を犯した人に同情なんてしない。彼らの行為を『仕方ない』なんて思わない。そんな事したら俺は共犯者だ。
この作品のもっともダメな点は、横山が無残に死んだことだ。横山は普通の環境で育った普通人だった。なのに意味もなく殺された。登場人物全てにキャラクターを押し付けたいという作者の我儘で殺された。それが虚しい。登場人物はほとんどが小学生なんだけど小学生である必要性が全く無くて、どちらかといえば思春期に入った中学生にした方が無理が無いと思われる。世界を平地にするよりお互いに差支え合って生きろ!!!
ネガティブハッピー・チェーンソーエッジの亜種だったね。あっ、悪種の間違いかな?


「生まれてきてありがとう」
あらすじ:雪に埋もれて動きが取れなくなった子供の話。
感想:感想無し。
20ページしかない短編で内容も無いので書く事ねーよ。読後感皆無。
擬音語の使い方に試行錯誤感あり。でも、まぁ……。



「りかちゃん人間」
あらすじ:不幸が不幸を呼んで不幸まみれのリカちゃんがレイプされて、家庭内暴力受けて苛めにあう最高に最悪な現状を打破する話
感想:簡単に言えば現代版シンデレラ。
人の不幸をそのような凡庸な設定でしか表現できないのかよ。もっと深い心理的圧迫が書かれていればいのに……。とにかくバカなお話。最期ぐらいポジティブな終わりにしようとして劣化舞城ですね。笑えねぇ。



総合感想:佐藤友哉が2005年に出版した本。新潮社から出ているので、これは面白いだろうと思い借りたが、まぁこんな結果だった。
新潮も思い切った事をするなぁと驚いた。もっと面白い文を書く人っていると思うけどなんで佐藤を……。と思ってファウストを読んだら新潮編集長と太田克人編集長の対談を読むと。どうやら、「新しい風」を入れたかったらしい。新しい風というか突風だったね。一時的なものって事。その場の盛り上げにしかならない感じ。
全体的に人を殺してバッドな自分を表現するという殺人を起こす高校生みたいな主張が見えた。そんなバカな話現実だけで十分だよ。もっと夢をくれよ。舞城さんのように最終的にポジティブじゃなくてもいいけど、せめて滝本さんのように薄ぼんやりした絶望感に対する希望的観測を見せてくれよ。
殺すことや人生に対する負い目、そんな事で小説を書くなよ。
とにかく、次作にこそ期待したと思います。
頑張れ佐藤友哉!!!

子供たち怒る怒る怒る

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