トキオ・ウィルス

村上政彦著『トキオ・ウィルス』を読了
都市伝説が六十篇も収録されていて、都市伝説マニアの僕としては大満足の一冊だった。
しかし、内容といえば、面白いといえる作品が多いいもの、後半のグダグダ感は否めなかった。
このネタをもっと生かせて一冊の作品として作り上げたらいいのに、なんて思える宝石の叩き売りに勿体無さを感じた。
全部を通していえる内容は、東京の人口密度の薄さ。
昔、東京生まれの東京育ちの宇多丸さんが、東京は人が多いいイメージがあるけど、早朝は驚くほど人がいなくて、竹下通りとか何かPVのように人気が無い怖さがあるといっていた。
つまりは東京という都市を僕のような田舎者は人口過密という思慮があるが、実際は東京という存在は仕事の為に近隣の県からくる人も多いいので実際は早朝や深夜の東京はドーナツ化現象で人口は低いという事らしい。もちろん繁華街は夜の方が多いいと思われるが。
そんな人影のない東京で、暗躍する不法滞在する外国人やホームレスは何をやっているのか分からない。そして、その暗闇の奥深くでもっと怖い人がうろついている。
つまりは東京は怖い所って訳さ。


この作者の村上政彦は後の略歴を読むと随分と芥川賞候補に成り続けていた。もちろん、今の所芥川賞を受賞してはいない。
最近も新刊を出したらしいが、書店で見たことは無い。(行く店の品揃えの悪さもあるが)
なんとなく、作中で語られる物寂しい登場人物と作者がリンクした。
誰かに自分の事を言いたいけど、話すにしては内容が重かったり、気恥ずかしさがある。
だから、他人事のように「知り合いのシェフの友達から聞いた話だけど……」と前フリをして自分を語るのではないだろうか……。

トキオ・ウィルス

トキオ・ウィルス