24歳のハローワーク

何だか全ての出来事が悪い方向に向かって行きそうな気配がひしひしと感じる今日だった。
おかしな事ばかりが起きて、俺の心は暗転していった。
例えば、3時に寝たのに6時に自律的に起きてその後眠れなくなったって、しょうも無い朝のニュースを見たり、腕時計を一つも所持していない事に気付いた俺はホームセンターに行って2000円ほどのノンブランド時計でも買うかな。と家を出かければ、5件廻っても無名ブランドの安っぽい腕時計を見つけられず、(カシオとかSEIKOの値の張る時計は見つけたが……)仕方ないのでウロウロそこらを原付で走り回りった。昼過ぎに、家に戻り求人誌を読めば、いろいろと目の止まる求人広告を見つけるが、『絶対に俺は採用されない!!』という訳の分からない妙な自信というか脅迫概念が体中を締め付け、求人誌を部屋の隅に投げ飛ばして、漢検の勉強を始める。しかし、どうも調子が出ず同じ間違いを何度もしてしまう。2時間後、今日は調子が乗らん!! と勉強を諦めて、絶望に効くクスリを全巻読み返してみよう。さすれば、きっと俺のこの漠然とした絶望も若干、いや幾ばくか和らぐであろうと一巻を手に取り読む。第一回の話はこの漫画の作者である山田玲司氏。読んで気付いたが、山田玲司氏は23歳のときに(つまりは今の俺と同じ歳の時)彼女に10歳からの目指していた漫画家を諦めて、田舎で喫茶店を開こう。と誘われる。もちろん夢に盲進する当時の山田玲司氏はその誘いを断り、彼女に合鍵をぶつけられて決別。その時の山田玲司氏も同世代が売れっ子漫画家へと出世する姿にヤキモキしていた。俺もヤキモキしている。つまりは仲間。
その後、北陽の虻ちゃんの話を読む。(第3話)俺と同じ年の頃。(年齢は出ていないがたぶん二十代前半)虻ちゃんも精肉を真空パックするバイトをしていてヤキモキしていた。そして、「私、このままじゃ本当につまらない人生になっちゃう……。そんなの絶対にイヤ!!!」と一時休止していた北陽を復活。
続いて、第4話。栗原すみ子さんの回を読む。
栗原すみ子さん、当時24歳の時、第一子が赤痢で病死(享年1歳)第二子をお腹に宿すも旦那は女と出て行ったきり帰ってこず。
白石康次郎(第6話)の回。
白石さん当時24歳、最愛の師匠がヨットレース中に自殺。世間はその理由を弟子である白石さんのサポート不足と見なして周りが敵だらけになる。
2巻に移行。
忌野清志郎の回(第12話)
たぶん俺と同じ年くらいの時、メンバーの脱退やアルバムリリースの延期、同期仲間の井上陽水の前座をする。
田邉亜紀子の回(第16話)
入社した会社を一年で辞める。(人間関係が理由)それまで持て囃していた仲間が手の平を返したように去っていく。親も才能が無いから辞めた方がいいと言い出して孤立無援。死んじゃう前に3、4年だけ頑張ろうと決意。
町田康の回(第18話)
17歳で大々的にメジャーデビューしたが、6年間の活動は鳴かず飛ばずで音楽界から見放される。
今宮純の回(第32話)
一浪して入学した慶応大学で草レースに参加するも負けつづける。そして金欠&留年。
寺門琢己の回(第34話)
鍼灸の免許を取り借金2000万して診療所を開業。
水木しげるの回(第38話)
終戦により日本に帰るものの絵の仕事では食べていけず職を転々とする極貧生活。(ちなみに43歳まで続いたらしい)
千葉麗子の回(第41話)
プロダクションから独立するが、融資を頼む為に銀行周り。社員に給料を払えずパソコンを売る。
伊東明の回(第43話)
大企業NTTに入社するが、付き合って彼女に「伊東君は女心が分かっていない」と言われて破局。愕然とした伊東さんはNTTを退社して、部屋に引き篭もり心理学の勉強始める。
辻元清美の回(第45話)
ピースボート』を開設して民間外交を始める。借金してまで巨大客船をチャーター。
デービット・ブルの回(第49話)
祖国の楽器屋で働くものの、自分の進むべき道が分からずヤキモキ。(28歳で浮世絵と出会う)
よしもとばななの回(第51話)
大学を卒業後、ウエイトレスをこなしつつ執筆。肩身の狭い実家暮らし(家族が文学一家だから余計肩身狭いよね)
大槻ケンヂの回(第63話)
バンドブームに踊らされて一躍有名人に。しかし、自分の伝えたい物が分からないまま……。ヤキモキ
飯島博の回(第65話)
高校卒業後、青果市場で働くフリーター生活。自分の中の「もやもや」したものを表現する事だけを考える日々。



まだまだ、この数倍のインタビュー漫画が掲載されているのですが、僕が読んだだけで掲載されている二十代前半の偉人の暮らしをリストアップしてみました。
なんと言うか、誰も楽な人生歩んでいないよね。苦労しているという意味じゃなくて何かと戦っていたり何かを得ようとヤキモキしている。
こんな事で少し自信が持てた僕は何とも短絡的な存在ですが。
二十代前半のこれを読む方、辛くとも死ぬな!!! 今は辛くともいつか明かりが見えるさ。
と胸を張って言えるよ。大きな木ほど地の深く根を張るわけさ。
サンボマスターだって23〜24歳の時、メンバーで集まって好きな音楽鑑賞と麻雀しかやっていなかった訳だし。
俺たちの時代はまだまだこれからだ。