NOTHING

『NOTHING』を観た。
あの低予算映画の名作『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督の作品だけに期待して観たが、さすがあの監督。凝ったアイデアが溢れ、また制作費の安い良質な映画を作ってくれた。
あらすじは、長年の親友ヒッキーのアンドリューと何をやっても失敗だらけのデイブ。ある日二人の元に不条理な不幸が次々に襲い掛かり二人は心底追い詰められる。「もう世界なんて消えてくれ」と二人が願ったその時、世界は二人の家を残して消えてなくなってしまう。
という、話。
もしこれをホラーやミステリーを期待して観るならやめた方がいい。そんな映画じゃない。これは二人の友情を描いた作品であり、人と人との繋がりを表した作品だから。
ここで俺的に気になった所は、この作品の話というか設定が誰もが画期的と讃えるが、戸田誠二の『生きるススメ』に収録されている『Making World』がこれとはベクトルが違うが内容が同じだった事。この作品は世界から物が無くなる事により目に見えない物(友情)の大切さを伝える内容だったが、戸田誠二の作品は、何も無い世界から始まり主人公が願うものが次々と登場。全てが普段の世界と同じように整った時に主人公が「後……友達欲しい」と呟く話。
今日になって多くの作品に触れていて本当によかったと実感した。
もし映画や本を多く読んでいなかったらこの『NOTHING』と『Making World』の類似点に気付く事無く、「あはは、なんか詰まらん映画だったなぁ」って作品の表面だけなぞって感想を述べていたと思う。やはり知識は多い方がいい。だって見づらい物を見つけやすいし、思ってもいないリンク性を見つけたり出来るし、物を見る視点だって多角的になる。
最近も友人と「サイレントヒル」を観たがこれも自分なりに面白い感想が生まれて満足できたし。
でも博識ぶったらバカ見るからあくまでひけらかさずに行きたい。

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生きるススメ

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