沖縄上陸大作戦。

気づけば、私は船に乗り、どこか遠くに売り飛ばされようとしていた。
このままではいけない。遠くに行きたいと強く願ったが、帰れないところまで行きたいとは願っていない。
私は、船員の目を盗み大海へとその身を投げた。
山育ちの私は泳ぎが得意なほうではないのだが、生き死にに関わる事となれば話は別だ。人間の生きたいという生存本能から私は必死に犬掻きをした。
両手両足を使い無茶苦茶に水を掻いた。そう、文字の如く私は生きる事に足掻いたのだ。
そのおかげか、私は今沖縄にいる。
沖縄は暑い。
何が南国の楽園だ。
梅雨明けで空気は蒸しているし、気温も朝の時点で30度を越している。
私はへばった。タイかインドネシアに間違えて泳ぎ着いてしまったのかと思った。
暑い。駄洒落Tシャツを売りつけようとする売り子のお兄さんの声が五月蝿い。どこからか聞こえてくる琉球音楽が一人で汗だくになりとぼとぼ歩く私にはむなしい。
疲れた私は、ふと見上げた先にある漫画喫茶に逃げ込んだ。
沖縄にきてまでネットかよ。
心の中にいるもう一人の自分のため息が聞こえた。


早く東京に帰りたい。
しかし、帰りの船が来るのは15日の朝らしい。
嵐が来るらしい。船は来ないかもしれないらしい。
東京を出航前に友人に電話したら、「うわ、まだ見ぬうみねこのなく頃に見たいじゃん。おもろ」と言っていた。全くすばらしい友人を持ったものです。
果たして私はこの孤島より本土へと帰還できるのであろうか……。
なにやらいやな予感がする。
ここで過去の名作の言葉を借り、最後にこう締め切っておこう。


コレを読んだあなた どうか真相を暴いてくださいそれだけが私の望みです