嘘あらすじ⑦

書くよ、一銭の得にもならない事を精一杯するよ。


エントリーナンバー38
作品名 オプティーク×オプティー
作家名 岡本綱雄
あらすじ

小さい頃、私が転んだり喧嘩して泣いて帰ってくると、祖母は「オプティーク、オプティーク……」と私の頭を撫でながら呪文を繰り返した。撫でられているととても幸福な気持ちになって。私はよく泣いては帰ってきた。泣き虫になった私。数年後、祖母が亡くなった。私は泣けなかった。オプティークオプティーク、お祖母ちゃん涙を連れて行かないで。

エントリーナンバー39
作品名 マイラブリーデコトラBOY
作家名 小川みづき
あらすじ

彼のバンド『デコトラBOY』は、全くの無名で音楽をよく知らないあたしから見ても売れる要素が見当たらないバンドだった。彼はそのバンドのベーシストなんだけど。ベースは全く弾けず、ライブでも演奏をトチっちゃって、元に戻そうとしてド壷にはまちゃって、終いにはベースを振り回してタイバン目当てに来た観客に殴り飛ばしちゃう問題児。そんで、仕事もしないで毎日、パチスロパチンコの毎日。もういい加減にしてよ!って私が怒れば逆ギレで……。はぁ、なんで付き合ってるんだろ?


エントリーナンバー40
作品名 森を歩いて
作家名 村上保谷
あらすじ

古闇小学校の裏には森が広がっていた。そこに通う、古宮由香利はその森が怖くて堪らなかった。夕方になると聞こえる奇怪な鳥の声や森の奥深くまで続く暗闇が何処か異世界のように感じさせ、そこに入ったのなら決して出られないといった魔性を秘めているように思えた。ある日、兄の古宮圭二がその森の中へと足を踏み入れていく姿を目撃する。そういえば、最近の兄はどこか様子がおかしかった。独り言が多くなって、犬や前世の本ばかり読んでいた。由香利は意を決して森に踏み入る。兄を救う為、森と戦う為。

エントリーナンバー41
作品名 ボウリングヘッド
作家名 森野樹
あらすじ

『ボウリングヘッド事件』を知っているかい? なに、。知らない。なら幸いだ。知らない方が身の為だし、知ったからといって何一つ徳などしない。逆に知らなければよかったと後悔が生まれるだけさ。えぇ、そんな風に言われたら逆に知りたくなるじゃないかって? それは好奇心からかい?なら、教えてあげよう。その代り、この言葉を覚えておいてくれよ。《好奇心は猫を殺す》
これは、とある女子高生の話。普通の一般的な女子高生の不幸が重なった悲劇の話さ……、



僕は耳をそぎ落とした。

エントリーナンバー42
作品名 蜘蛛の女
作家名 木下寛之
あらすじ

私、『蜘蛛下 雨』には、大きな野望がある。それはこの世界中を見て回ることだ。北は北極のオーロラから南は南極のペンギンまで世界の全てをこの眼に焼き付けることが人生の目的である。私の野望に対して、その高校は狭すぎる。いや、高校生活が矮小だ。もっとおきなモノが見たい。私は卒業まで我慢したりしない。かと言って卒業を諦めない。なら、やることは一つでしょ。この高校生活を大きくするまでだ!

エントリーナンバー43
作品名 ロストワルツ
作家名 松尾佑一
あらすじ

小さい頃のあだ名は「ショパン」だった。母親に持たされた携帯の着メロがショパンで、その設定を変えるのが面倒臭くてそのままにしていたら、テスト中に鳴り響き。クラスの誰もクラシックなんて分からないだろ。と高を括っていたら、クラスの女子に見事に曲名を当てられて、それ以来「ショパン」になった。今思えば、曲名を当てた女子は地元でも有名な金持ちの一人娘で、まぁ英才教育、帝王学でも叩き込められていたのだろう。それに比べて、俺なんて何時潰れるとも分からない文具屋の跡取り。屋根に上って雪下ろしをしていたら身分の差やこの弩級の田園風景に呆れた。彼女は上京したと数年前にきかされた。