ハプニング

人間と言うものは鋭利なモノが刺さるとすぐに血が出て、傷が深くなると出血大量で死ぬ。それ以外にも、車に轢かれても死ぬし、転んだだけでも打ち所が悪いと死ぬ。寝ている顔に濡れ布巾を乗せただけで窒息死する。空気がないと窒息死するし、そのくせ空気の濃度が濃いと空気があっても死ぬ。
人間はとても脆い。
脆いがゆえに人間は知性を持ち、危機を回避しようと努力するし、脆いと分かっているから自分や他者を守ろうと思ったり慈しんだりする。
だから、人間は脆いが強いのだと思う。



そんで、映画の感想。
上記の言葉は自分の中の一つの真理だと確信している。『人間は脆いから強い』その言葉を持つ私としては、この映画は最高にクソッタレな映画で。こんな映画に金を出した自分の愚かさに怒りではらわたが煮えたぎる。



まず、何が悪いかといえば、謎の異変によって人間が死ぬのだが、その死に方が自殺だと言う事だ。
口から血を出して目玉飛び出して狂いながらもがき苦しみ、死ぬのではなく、日常のワンシーンのようにさらっと喉に櫛を突き刺したり、落ちている拳銃を眉間に打ち込み死ぬのだ。
それがムカつく。
まるで、「人類は、すべからず自殺願望を持っている」とても言いたげな死に方。
そんな事ってあるか? それは人間誰もが「死にたい」と思ったことがあるだろうが、本当に実行する人なんてほんの数%もいないはずだ。
つまりは人間は当たり前のように生きたいのだ。身体が生を渇望している日々が人生ならば、それを終らせる権利を持つものは毒によって幻覚を観たゆえの自殺ではなく寿命だろ。


そして、その死に方も。
SAWを観て、感化された中学生が思いつきそうなバカな死に方ばかり。
SAWは視聴者に痛みを伝える死に方が、単なるスプラッター映画ではない部分なのに。ハプニングにはまるでそれが無い。それは誰もが一度は思いつく浅はかな自殺方法だからだ。だから、リアリティーが無い。
誰もが思いつく事と、誰もが共感できる事は全然違う。


ストーリーもあの監督お得意の考えオチ
オチに行くまでの流れも無駄なモノばかり。
無駄なシーンを監督は「このシーンは人類がいかに植物を……」「これは、現代の人間関係の希薄さを……」とでも言いたいのだろうけど。そんなのいらねーんだよ!!
見え透いている説教臭いシーンなんてお前のオナニーだ。
見る側の視点に一度でも立ったのだろうか?


ともかく、酷い映画なので被害者を減らす為に映画館での上映を早く終らせてほしいと私は思いました。