グ、ア、ム

あらすじ:母親と姉妹の三人は家族水入らずでグアム旅行に出かけた。しかしグアムは生憎の雨。家族三者三様の気持ちからすれ違ってこんがらがって自分勝手お互いを主張する始末。果たして晴天の空でビーチに繰り出せるのか……。


本谷有希子の作品に於いては随分あっさりとした。
一見すると、「お前のグアム旅行記なんじゃねーの?」と疑いたくなるような内容でした。(特にラストをハッピーエンドに持っていく辺り)
しかしながら、前半から中盤辺りの母子が奏でる不協和音。生まれが同じでも過ごし方で正反対の性格を持つ姉妹の軋轢。
受験戦争や就職氷河期という時代のビックウエーブを受け続けて育った姉の叫ぶ。

「あたしはどうにもならん時に産まれてしまったんじゃ。
不景気どうやって直せばよかった?
就職難どうやって乗り切ればよかった?
氷河期どうやってあたためればよかった?
良かったなぁ、お前は時代に助けられて!」

という言葉のダメさ。
そんな姉にあきれ返ってしまう妹。
空気の読めない母親。

女が三人集まって姦しい。とはこれの事。