13日の金曜日

テキサスチェーンソーの監督がリメイクした『13日の金曜日』を観てきました。

感想:
見る前にPG-15表記があったので、とてもとてもグロいシーンやトラウマになるような描写が存在するとばかり思っておりましたが、結局は女性の乳首が出るのでPG-15という始末でした。ホラー映画なので惨殺シーンもありますが、規制するほど激しいものはなかったように思われます。
そんで内容。
まず前作テキサスチェーンソーの面白さから。
世界観が上手かった。
出だしが、“荒野をワゴンで走っていると薄汚れた女が向こうから歩いてくる。可愛そうなので車に乗せて走り出すと女は発狂し隠し持っていたピストルで自殺する”
観ている人間は何が起こったのか全くわからない。しかし、ワゴンを進めた先に存在する町の異常さから、自殺した女が町から逃げようとしていた事を理解する。そんでレザーフェイス登場という流れ。
アメリカのホラー映画なんて突き詰めると、どれだけ面白おかしく人の殺し方を表現できるかという事にあると思う。つまりは暴力で恐怖を与える(殺人鬼が主役の映画に限り)手法を取っているのだが、テキサスチェーンソーは最初に雰囲気作りから始めた。不死身の殺人鬼の恐怖よりも、その殺人鬼を容認している町の人間の異常さや荒廃した町を見せる事によって精神的な圧迫感を与える事からはじめた。そこが後のレザーフェイスの暴力的恐怖とあいまって怖さを倍増してくれるのだが。
今作の『13日の金曜日』にはそれがない。
過去、クリスタルレイクで起きたジェイソン発生の事件は適当に人の語りで済ませ、クリスタルレイクに訪れる若者をジェイソンが殺すというそれだけの流れ。
何故、ジェイソンはクリスタルレイクに訪れた人間を殺すのか?
その問題が何も解決されぬまま、「湖を荒らすマナーの悪い若者をジェイソンが懲らしめた」と思うしかないような話である。
勧善懲悪のホラー映画。
ジェイソンの人物像の薄さにちょっと不満が残る映画でした。