デンデラ/佐藤友哉

去年の12月に刊行された新潮に掲載されていた佐藤友哉最新作を今更読了。
あらすじ:「姥捨て」によって雪山に捨てられた斉藤カユが、死にたいのに生かされて老婆だけが住む村で暮らす羽目になる話。
感想:約50人の老婆が出演するくせに、どの老婆の若々しくて行動的で老婆に見えません。
そんで、佐藤友哉作品と言えば、初期の「鏡家サーガ」から「世界の終わりの終わり」に至るまで、共通して作者の自意識が爆発していてナルシシズムを持ったニヒリストな作者が垣間見えてしまう作品ばかりで、それがよかったり悪かったりするのですが、今作はその自意識の暴走が全くなく。本当に主人公斉藤カユを黙々と追う姿に「ユヤタン成長したなぁ」と驚いてしまいました。
襲撃派と穏健派の確執や熊との戦い、厄病に慄く村人。
その中で、何も持たない自分の無力さを知り、自分(主張)が欲しいと願う斉藤カユ。
とにかく、一枚剥けた佐藤友哉を観る事が出来る作品だと思います。