恐怖

あらすじ:脳の側頭葉と前頭葉の境目には「シルビウス裂」という場所があり、その場所を刺激すると人には見えないモノが見えるようになると言われている。戦時中に行われたその実験フィルムを観た脳外科医師夫妻はその実験の虜となり自らその実験を行いたいという衝動に駆られる。


感想:
予告を公式HPで観た時はジャパンホラーらしい演出の数々に「これはきっと怖い」と思い、一人で観にいく事が嫌でたまらず友人と一緒にッ観に行こうと決めたのだが、その誓いの次の日には上映回数の少なさから「今週一杯の上映かもしれん」と不安に駆られて思い切って映画館に飛び込んでみた。カウンターに『恐怖は県内では我が映画館だけの限定上映。それも二週間だけ』と書かれており、「こりゃしめた。観に来てよった」と安堵しながらチケットを購入して入場する。夜中の上映に関わらずポツポツとお客さんが入り、「やはりこの映画は有名な作品なんだ」と思った。自分が座った席の横にカップルが座り彼氏が誇らしげな顔をして彼女に「オレがなんでこの映画を選んだと思う? 実はオレの知り合いがこの映画のスタッフなんだよねぇ」と彼女に自慢していた。自分はその時、ちょっと嫉妬した。これほど有名な作品のスタッフを知人として持つ彼氏はきっと人の出来た素晴らしい人なのだろう。自分が女性ならば抱かれてもいい!とまでは思っていないが。有名人どころか知人の少ない自分としては素直に凄いなぁ。と感心したものだ。
映画が始まり、序盤はあらすじで書いたとおり、戦時中の実験フィルムが流れる。フィルムに魅了される夫妻とそこに現われる夫妻の子供達。
良い出だしだった。その後も時系列をずらしたストーリーや集団自殺を使った人集めなど観ていてどのような流れになるのか、恐怖の象徴であるクリーチャーはどうやって出るのか、ワクワクしたものです。
そして中盤、主人公の妹が姉探しに飽きて姉の彼氏とベットインしたあたりで「おい、お前は何をしているんだ? 二時間サスペンスのお色気シーンかよ!」と肩透かしをくらい、「いやいや、これにはきっと深い訳が……」と自分を慰めていたら、主人公の「姉を探しに行こう。きっと山の中の家よ」とか言い出して、「急にやる気出すな! そんな事最初に気づくだろ! 生家なんか警察が調べているからいねーよ」と考えていた自分の予想は斜め45度に裏切られ、あっさり姉は発見。なんだかんだで、監督からの「自殺はあかんでぇ!!」というありがたいテーマを戴いて映画は終わった。
『ホラー映画だと思ったらトンデモSF映画だったでござるの巻』でした。全く怖くないので一人でも余裕だよ。
後半なんか呆れて観ている自分の上の席の人が何度も欠伸をするのが妙に面白かったです。


余談.
上映前に知人にスタッフを自慢していた彼氏はスタッフロールが始まると共に逃げ出すように劇場を後にしました。
そりゃ、あんな内容の映画じゃ彼女が可愛そうだよ。