恋はデジャ・ブ

あらすじ:周りから「皮肉者」と思われている主人公。気象予報士フィル・コナーズはある日取材で訪れた寒村にて、同じ日を繰り返す奇妙な体験をしてしまう。何をやっても夜が明けると2月2日に戻ってしまう事態に困惑し、そのループから抜け出そうと四苦八苦する。



感想(ネタバレ):
「主人公のみ記憶を保持したまま同じ時間を何度も繰り返す」という物語の形は数あれど、この作品の他のタイムトラベル物の一線を画していると思われたのは。今まで観てきた同じ時間を繰り返す作品は、どれも主人公が終盤に降り掛かる災害を回避する事が目的だったり、繰り返す日々からの脱却が目的だったりする事に対して、この作品は中盤こそ2月2日から抜け出す為に主人公は東奔西馳するのだが、終盤での寒村に住む人達の為に主人公が自らのスキルを高め*1、何をやろうとも2月2日が繰り返されるのなら、その一日を誰にとっても最高の一日に仕立て上げてやろうとする。自分の知る過去のタイムトラベル物はゲームで言うならADVのジャンルにあたる、物語の中で数々現われる選択肢から一つを選び一つのENDに辿り着く。プレイヤーは自分の望むENDを見つける為に何度も物語をプレイしては前回とは違う選択肢を選び違うENDを見つけようとする。それに対して、この「恋はデジャ・ヴ」はゲームジャンルで言えばRPGに近く、ENDは一つに決まっている*2。そのENDは初期の主人公のスキルでは到底届かない。その為にには努力して自己を高め、他者を思いやる。そんなスキルアップRPGで言う所のレベル上げを行ってやっとENDに届く。その、ただ選択肢を選ぶだけとは違う自分の成長を必須としてループから脱却するというのはとても面白かった。
邦題のタイトルの酷さはたまらんがね。「恋はデジャ・ヴ」間違ってないけど、この映画が伝えたい事はもっと違うんじゃない。「『毎日同じ事の繰り返し』と愚痴っている君、人生は同じ事を繰り返しているかぎり同じ事しか起きないんだよ。もっといろんな事にチャレンジして、いろんな人と話をしてみろよ。そんで好きな子には好きと言っちゃえ」だろ。それを一言で表すタイトルは思いつかないけど…。

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余談
いやぁ、良いよ!!
シュタゲやマギまど、ひぐらし時かけ、とタイムリープ物が好きな日本人は絶対に嵌る作品だと思う。特にタイムリープ物を観ていれば観ているほど、後半の展開に感動すると思うんだけどなぁ。

*1:みんなを喜ばせる為にピアノを毎日習ってピアノを上達したり、2月2日の夜の亡くなってしまう老人を救う為に老人を気遣い救護技術を学び、毎晩訪れる老人の死を覆そうとしたり

*2:この場合は自分の解釈だとオークションで彼女が全財産をはたいて彼を落札する。ようは2月3日への到着。だと理解した