これでいいのだ!! 映画・赤塚不二夫

あらすじ:小学館に入社した武田初美(堀北真希)は、入社式に乱入した売れっ子漫画家赤塚不二夫浅野忠信)を殴り飛ばしてしまう。少女コミック
編集を憧れていた武田は赤塚の策略によって赤塚専属の編集者になってしまう。


感想:
赤塚不二夫の担当編集者であった武居俊樹の著作『赤塚不二夫のことを書いたのだ!!』を下地に大胆な脚色をいれたコメディ。
内容と言えば、赤塚不二夫がサンデーでおそ松くんで大ヒットしている時に、マガジンでバカボンを描いてそれがもっと大ヒットしてサンデーのおそ松くんが打ち切り。新連載を描かなくちゃいけない時に赤塚の母親が無くなって、経理に金盗まれて身も心もボロボロで赤塚逃亡。と、まぁ、武田初美を軸に赤塚不二夫の明るさと苦悩を見ていく映画なのですが。観る前にもっと伝記っぽい、赤塚不二夫の半生が描かれる真面目な作品だと思って観に行ったら、かなりコメディタッチに描かれていて、「まぁ、それならそれで笑って観れればいいや」と気持ちを切り替え、観客のおばさんも笑っていてなかなか楽しかったのですが、中盤になって「赤塚不二夫は母親を大事にしていて……」とか「経理が詐欺しても赤塚不二夫は優しいから……」とちょっと重い話が入ってきて、学生運動の過激派が出ていて、コメディだと気持ちを切り替えて笑って見ていたのに「この映画はコメディじゃねーから、赤塚不二夫の半生だから」と怒られたような気持ちになり、なんとも中途半端な作品だと思った。母親とか詐欺とか赤塚不二夫を語る上で必要かもしれないが、だったら最初から真面目に作れよ。
あの旅館の穴の中に執筆中の赤塚って演出考えた奴は最低に才能が無いのであのシーンはDVD版では消した方が良い。歌は最高、ダイナマイトが150トンは良い。
昭和40年代のノスタルジーを場面の箇所箇所に入れるのはいいが。どうもそれが押し付けじみていて、もっとさらっと入れればいいのに、無駄に新聞の記事を晒したり、映像の演出を昭和っぽくしたりと、そこら辺もテーマにブレが見えた。この時代に赤塚不二夫の人生をテーマに映画を作るならもっと伝えるべきテーマに一貫性を求めないと。
堀北真希浅野忠信の演技は最高。気弱な役ばかりしているイメージの堀北真希の大胆な立ち回りや、赤塚不二夫口調の浅野忠信は実に良い。草臥れた感じの編集長役の佐藤浩市もしかり。
劇中、赤塚不二夫が生真面目な武田に再三唱える「バカになるんだよ」の言葉はこの映画自体に僕が言いたい。もっとバカバカしく作って泣かせよう演出は控えろ。観客の好きな時に泣かせろ。



まぁ、無難な作品です。
若者よりおっさんおばさん向けなので若者はガンツ観に行こうぜ!!