127時間

あらすじ:親からの連絡を無視し、妹からの電話も無視し、全てを捨てて自分の趣味であるキャニオニングに向かい一人で深夜に車を走らせ、自転車を漕ぎ、徒歩で歩き続け目的地を目指すアーロン・ラルストン。たまたま見つけた大地の裂け目のような狭い道を通っていたとき、足を滑らせ隙間の奥へと落ちてしまう。自分と一緒に落ちてきた岩に腕を挟まれてしまう。身動きが出来なくなった彼を誰も助けにはこなかった。


感想:
「世界まるみえ」や「アンビリバボー」でありがちな大地の裂け目から出られなくなった男が持っていた食料や水で飢えをしのいで、持参していた道具で抜け出す。悪く言うとありがちな話です。実際にラスト観ると、「あーやっぱりね」と思ってそれほど驚くような展開ではありません。
ただ特出すべき点がこの映画の演出です。主人公が参って幻覚を見てしまうのだが、その幻覚がとにかく良い。「あの時、電話に出て行く先を伝えていれば……」や「車の中にジュースがあったなぁ」という過去に対する後悔に始まり、自分の半生を振り返り、彼女との喧嘩や家族との団欒を現在の自分が家の外から「もう手の届かない幸せな場所」と認識して諦めたような顔をして見つめるシーンなんて最高。
もちろん、その後のキャニオニングを始めたキッカケである幼き自分と父との邂逅や、目の前に現われたソファーに家族や知り合いが座って、主人公に「お前なら出来る」っていう期待の目で見つめるシーンも良かった。
主人公が自分の不幸をワガママに孤独に生きてきた自分への天罰だと解釈しかけた時に「そんな事無い。お前なら乗り越えられる、俺たちが観ているから」と、自分という人間は孤独なんかじゃなく見えず聴こえずとも家族と彼女と多くの友達に支えられて生きている。いや生かされている。とやる気を出し起死回生の賭けに出る。展開は燃えます。その賭けがかなりグロいけど。
裂け目を抜け出した時、主人公が呟く「サンキュー」の一言。
それはきっと抜け出せた喜びではなくて、この試練によって多くの愛に気付く事が出来た、試練を与えてくださった神への感謝の言葉のように聞こえた。


ストーリーは在り来たりだが演出が素晴らしいのでオススメです。
主人公の明るさもイイ!!