惑星のさみだれ(全10巻)/水上悟志

あらすじ:朝起きたらベッドにトカゲがいた。そのトカゲは人語を喋りこう尋ねた。「「我輩はノイ=クレザント卿、騎士である。この惑星を滅ぼさんと企む悪の魔法使いの手より姫をお守りし、世界を滅亡から救うため馳せ参じた。貴公の力を貸して欲しい」
主人公は空を観て思った「外はイイ天気だ」


オレ的あらすじ:「僕と契約して騎士になってよ。騎士になってくれたら願い事を一つだけ叶えてあげるよ」と人を勧誘する12体の動物とその動物と契約した12人の騎士。騎士の目的はどこかにいる精霊(プリンセス)を見つけ出して悪い魔法使いから守る事。悪い魔法使いは土人形というホムンクルスを使って騎士や精霊に襲いかかってくる。精霊を見つけ出し土人形を倒し悪い魔法使いをやっつけろ!早くしないと宇宙空間に漂う超巨大ハンマーが地球に向かって振り下ろされて地球が砕けてしまうぞ!!



感想(ネタバレ少な目):
なんだかとても中二病なストーリーが読みたくなって、知り合いに何か良いものは無いか?と訊ねたら「まどマギが面白かったと思ったのなら惑星のさみだれ読んどけ」と言われて、魔法少女物かと思いTSUTAYAの貸本システムを利用して読んでみたが、なんと素晴らしい作品なんだ。私は知人にこう言ったよ「ありがとう!!そして、ありがとう!!」と。
まどマギに似ている話は、グーグルさんを使ったらアホみたいに比較した記事が出てくるのでそこら辺はあえて割愛。
この作品が凄く好きな点は、オトナがちゃんと出てくる点である。「世界を憎む主人公と世界を破壊したいヒロイン」このフレーズだけでセカイ系と定義してもいいくらいこの作品の序盤はセカイ系なのだ。彼らの意思がセカイの行く末を握っている。しかし、この作品は中盤に行くにつれてオトナが沢山出てくる。身体を張って主人公に人を守る素晴らしさを伝える人や、主人公を愛する人土人形との戦いで子どもの騎士が戦わなくて良いように鍛錬する人、死する運命を知りながら未来に託す人、自分の能力の限界を超えようと苦しむ人。オトナが戦う。子どもも戦うが、オトナがセカイを救う為に戦う。なんてかっこいいんだ。
当たり前の事だが、この現実は“オトナが世界を救ってきたんだ”。子どもの為に愛する人との為に未来の為にオトナが身体を張って救ってきた。そんな事をこの漫画を読んだ時に酷く実感した。
そんなオトナ達を見て、戦いに参戦する子ども達も良いんだよね。
序盤がまったりとしていて退屈に感じるかもしれないが、騎士が集まり始める中盤から展開が加速して、終盤の大激闘は必見ですので、「歳は重ねたけど、オトナってなんだろう」と悩んでいる20代は是非読んで欲しい。

惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)


余談1.
まどマギに似ているうんぬんよりも、俺は南雲さんがオカリンに、氷雨さんがクリスに似ていてどうしようもなかったよ。


余談2.
後半の氷雨さんや火渡姉妹、神余さんと使いきれていないキャラがあるのが読後にちょっと残念だと思ったぜ。そこら辺も使ってほしかった。


余談3.
単行本は後で全巻買う予定。こりゃ布教せんと。


余談4.
たまたま色川武大さんの本を読んでいて、色川さんが、「子供はいろいろな大人を見て自分なりのアイドルを見つけられたら、大きくなって大人になったときにそのアイドルを思い出して頑張れる」と書いていて、そこら辺の影響を受けての「星のさみだれ」感想になった。