ラ・ジュテ

あらすじ:幼少期に空港の屋上で殺される男と悲しむ女の姿が観て以来、その情景がずっと忘れられなくなった男は、人間を過去に送る実験の実験体として選ばれる。過去への執着を強く持つ男は、その実験を見事に成功させ、悲しむ女の元へと急ぐのだった。



感想(ネタバレちょっと):
ほぼ90%近くが白黒スチル写真によって形成されている、写真のスライドショーにナーレションが付き、話が進みます。写真を使った紙芝居だと言うと簡単ですが、下劣なのでその紹介は嫌い。


上映時間が30分と短いので、それほど詳しく感想を書くとネタバレ満載になってしまうのが実に残念だ。
この映画は今から50年前、1962年のフランスで製作された作品である。この映画には多くの映画ファンと映画制作者が感化された。1995年にテリーギレアムが『12モンキーズ』としてリメイクしたり、押井守が自身の作品に多く引用しています。


煌びやかで平和な過去のビジョンと、第三次世界大戦後、地上は放射能に汚染され、薄嫌い地下で人体実験を繰り返す現在。の映像の対比が素晴らしく。
その煌びやかな過去で逢瀬を繰り返し恋をする男と女の姿も美しい。
劇中、彼女が男を「私の幽霊」と呼び、男は「自分が話し掛けない時は、彼女は死んでいる」と言っている。二人の距離感の儚さというかギャップが実に出ているシナリオだと感嘆した。


兎に角、素晴らしすぎてワクワクしたので皆さんご覧下さい。


余談。
タイムトラベル物ではなく、彼は頭をおかしくしていて、過去に行ったのではなく自分の妄想の中に逃げ込んでソレを過去だと思い込んでいたとしたら、ソレはソレで面白い。実際劇中では、最後の男の死と初めの男の死を同一だとは一言も述べていない点でも、解釈の幅は広がり面白いです。