あなただけに言える秘密のこと

あらすじ:
イギリスのとある街にある工場で働くハンナは、働き者ではあるが誰とも口を利かず、孤独な毎日を送っていた。彼女の過去は誰も知らない。時々どこかに電話をかけるが、相手が出ても何も話さずに切ってしまう。全く休まないハンナを見た上司は、彼女に無理にでも休暇を取るように勧め、ハンナはある港町にやって来る。しかし休暇など欲しくなかった彼女はとりたててすることもない。
そんな時に入った中華料理屋で、至急看護婦が欲しいと携帯で話す男を見かけ、ハンナは自分は看護婦だと告げる。ある油田掘削所で火事が起こり、重傷を負った男性を看護する人が必要だという。ハンナはすぐにヘリコプターで採掘所に向かう。(wikipediaより)


感想(ネタバレ無し):
邦題からSATC好きな女がホロっと泣けるような軽い恋愛映画を予想すると痛い目にあいます。


フランス映画なのに全編が英語台詞なので、最初はアメリカの映画かと思ったが、そのたぐいまれな映像美とウィットにとんだ音楽がフランス映画らしさを滲み出している。
無口で人付き合いをしない主人公ハンナが、向かった海の上に建つ海洋油掘削所の住む人々はハンナと同じでどこか影を持つ人ばかり、彼らも彼らなりの理由でそこで生活をしている。心に秘密と孤独を持つ彼らとハンナ。周囲を海で囲まれ、辿り着く手段は依頼しないと飛んでこないヘリコプターのみ。そんな閉鎖空間というか鉄の城のなかで、ハンナと従業員達が仲良くなって終わりかなーって思ったら、いろんな秘密が飛び出してきて重いムードに……。

しかしラストが良い!!

世界観と伏線の張り方、役者の演技ととても上手く見ていた時には「なんで?」となるシーンも話が進む中で謎が解け、全ての謎が解けた上でも揺るがない愛という感情。世界には不幸や不遇が確かに存在するが、それらと見詰め合ってばかりでは見つけられないモノもある。

人には勧めづらい映画だけど、愛とか恋とか簡単に叫ぶ安い恋愛映画よりもよっぽどロマンティックって素晴らしい映画だと思う。

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感想(ネタバレ有)
心を閉ざしていた彼女が、海洋学者の話を聞いて「そうゆうのって素晴らしいと思うわ」って言ったのが、お世辞ではなく、彼女の心が少しだけ世界に向けて開いた瞬間でしたね。

最初の子供のナレーションが、最後に意味が分かってハッとなるね。後、子供が「もう私はいらないみたい」的な事を言うシーンで俺は涙がボワって出て止まらなかったよ。

おっさんが「オレは泳げないんだ」と笑い話をするのかと思ったら、父親との確執を話し出して。ソレが二人の再会で炸裂するっていう展開も良かったわ。


ちょっとだけ、滝本竜彦作品ぽさを感じたのはオレだけですね、わかります。