ラースと、その彼女

あらすじ:青年ラースは心を閉ざしていた。ある日、隣の家に住む兄夫婦の前に「彼女が出来たんだ」と報告に来るラース。ラースの孤独を心配していた兄夫婦は喜び紹介して欲しいと強請ると、ラースがつれてきたのはラブドールだった。

感想(ネタバレ有):
世間様の高名な御託を並べる事には、この映画は「精神的な自立が困難になった現代社会の歪の象徴である主人公が、オーダーメイドしたリアルドールを愛するという他者とのコミュニケーション不全となり自我の思うが侭に出来る人形愛への転落であり。そのような超個人主義に凝り固まってしまった人間がリアルドールを介して村人達との人の温かみを知る物語である。この映画は文明の進化によって個人間での繋がりが希薄になってしまった現代人への警鐘と介護である」らしい。
それは私も観ていて思っていたし孤独に毒されている人にはある種の特効薬になりうる、大人の童話であると思う。


しかし、


この映画。
ココからは私の妄想と過大解釈である。
ラースは本当に心優しい男だったのだろうか。
彼が急にリアルドールを買った時、彼は兄夫婦に対してある種のギャグとしてリアルドールを買って彼女だと冗談で言ったら、兄夫婦が「こいつ病気だわ」と言い出して、ギャグをギャグだとネタバレするタイミングを失い、兄夫婦以外の村人達も「かわいそうに」と構ってくれるから、これはこれで楽だと思ってギャグを黙っていたら。
そのうち村人達が「このリアルドールは人間なんだわ、もっと人間らしくしなきゃ」とリアルドールに仕事を与えまくってリアルドールばかりちやほやされるから、それがつまらなくなってラースはリアルドールが病気になったとか、余命幾ばくだとか、死んだとか言い出してリアルドール設定を殺しに掛かったんだじゃないのだろうか。さながら、思春期に考えた中ニ病設定がある時に煩わしくなって捨て去る子供みたいに。
または、同僚の彼女といい感じになったのでリアルドールと別れたくなって、しかしあれほど村人に好かれているリアルドール破局となると村人との体裁が悪くなるので「殺しちゃえテヘ☆」だったのではないか。
兎も角、リアルドールが亡くなって、葬儀後に同僚の女と仲良しになっているのは、彼は本当にリアルドールを愛していたようには思えなかった。


でも、『ラースと、その彼女』最高!!(フォロー)