ハンガーゲーム

あらすじ:文明崩壊後の北アメリカに位置する国家パネムを舞台に、16歳の少女カットニス・エヴァディーンの一人称視点で書かれている。パネムはキャピトルと呼ばれる高度に発達した都市によって政治的に統制されている。「ハンガー・ゲーム」とは、キャピトルを囲む12の地区から、各地区ごとに男女1人ずつくじ引きで選出された12歳から18歳までの24人が、テレビ中継される中で最後の1人が残るまで殺し合いを強制される、1年に一度のイベントを指す。(wikipedhiaより)


感想:
アメリカのティーンに大ヒットした小説の映画化らしいので、日本で言ったら「恋空」の映画化みたいなモノだと解釈して大体あっている。


予告を観た限りだと「外国製のバトルロワイヤル」と解釈して観に行ったら、深作監督の偉大さが分かるほどの劣化バトルロワイヤルだった。もっというとバトルロワイヤルではなかった。
悪いところを数えれば沢山あるのだが、個人的にコレは酷いなと思ったのが、二つある。
一つは、集められた人間が一週間くらいの戦闘訓練を積む所。映画の内容的には、ハンガーゲームというのは貴族が観るTVバラエティ番組だから、ずぶの素人を集めて闘わせるのでは盛り上がりに欠けるということで、ハンガーゲーム前に戦闘訓練を積ませるというのだが。
そこに物語のつまらなさを覚えた。
バトルロワイヤルの面白さは「誰が」「どこで」「誰と」あい「闘う」か「協力するか」という先の読めない展開にミソがあると思う。作者はその世界では好き勝手に前振り無しで戦いを作れるし、読んでいる読者もまだ見ぬ戦いを想像したりする余地が生まれる。バトルロワイヤルってのは無限の展開を生む舞台装置である。そこに存在するキャラは個性的で特殊な方が素晴らしい。個体差が大きければ大きいほどに戦闘はスリリングになるし展開は予想を裏切る。
しかし、ハンガーゲームでは、そのバトルロワイヤルの旨味を戦闘訓練というもので平均化させている。
実に勿体無い。(ハンガーゲーム始まって24人中12人が一瞬で死んだから、キャラクター製作なんて考えていなかったかもしれんが…)
二つ目。如何なる外部的状況変化が起きようともゲームマスターはゲームを愛さなければいけない。
黒人の子供が殺されて一揆が起きて、一揆を収める為に主人公が殺されてはいけないという超解釈にも呆れたが、そのために今まで続けてきた「勝者一人」というルールを捻じ曲げて「勝者を二人」にするというゲームマスターのアホさ。
そして勝者二人が決まったら、「勝者を一人」に戻す。なら、と二人が相打ちをきめれば「勝者二人」。
そうなると、なんでもアリじゃねーか。


作者は、この作品の着想をイラク戦争の報道だと言っていたので、アメリカのTVではイラク戦争を真面目に報道した局なんてなかったのかもしれん。
または作者のTVが壊れていたのだろう。


この映画も誰にもオススメしません。