ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー (始)

あらすじ:
突如大地に空いた大穴によって消えた村の唯一の生き残りティズ。風のクリスタルを守護する風の巫女アリエス。記憶喪失の男ウインドアベル。勝気な少女イデアの四人は穢れてしまった4つのクリスタルを浄化して世界を救うべく立ち上がる。
2009年に発売された『光の4戦士』の主要スタッフが再結集し「王道RPG」をテーマにファイナルファンタジーの記号を使って作り上げたスクエニRPG

感想:
前作『光の4戦士』では、お世辞でも良い出来ではなかった為に『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー(以下BDFF)』の製作発表時ではそれほど期待している人はいなかったように思えた。前作の出来もさることながら、FF13の結果によって一般意識として「スクエニの作るRPG」への期待は下がっていたように思える。「スクエニはゲームを作るのではなくムービー作品を作っているだけだ」という声も聞こえた。
しかし、このBDFFは体験版を何度も配信してはユーザーからの意見をゲームにフィードバックさせたり、シナリオにシュタゲやロボノの林直孝を採用したり、音楽にSound HorizonのRevoを採用するなど開発社内で纏まらず門前を開けた。
そこがこのゲームの成功例だと私は思っている。
そもそもFF13の評価が悪いのは、シナリオもゲーム性も全てが内輪ネタのようにしてしまった点だと思う。大企業にありがちな、ネームバリューで売れるのだから「自社らしさ」を全面に押し出した結果、ユーザーの求めるものとは違った作品、プレイヤーを無視したワガママな作品が出来上がったのだ。

それに比べてこのBDFFは、ユーザー任せな点が多くある。

まずはFF5まで存在したジョブシステムがそのまま搭載されている点。
プレイヤーはキャラクターに好きなジョブに就かせる事が出来るし覚えたアビリティを使ってオリジナルなキャラクターを作れる(黒魔法を使える戦士とか、体術が使えるシーフなど)。
また、装備も自由である。
殆どの装備アイテムがキャラの性別やジョブ関係なく装備できる。「二刀流」というアビリティを覚えていなくても両手に剣は装備できるし、僧侶でもナイフや盾を装備できる。*1防具も同様にシーフでもヘルムやアーマーを装備できる。
戦闘システムでは、ターン性バトルでの自分の行動を次のターンに持ち越したり、前借りしたりできる「ブレイブ&デフォルト」が搭載されている。
搭載されているからといって、ソレを使わないと勝てない戦いなどは今の所無いので、それを使って戦略的に戦う事も王道なターンバトルを楽しむ事もプレイヤーに委ねられている。
戦闘システムではもう一つ特出すべき点がある『必殺技』である。これは、ある条件*2を戦闘中に行うと使えるようになる技なのだが、その必殺技はプレイヤーが自由に作り出すことが出来る。必殺技に炎属性を持たせたり、獣特攻などをつけるが出来、また必殺技自体の名前や決め台詞を変えることも出来る。オリジナル必殺技は、すれ違い通信やネットを通じて他のプレイヤーに貸す事も出来る。
(序盤の戦闘では、他プレイヤーから借りた必殺技は強力なモノが多いので使うとボス戦が楽である)
シナリオでは、サブイベントもあるが、何よりもプレイヤーに委ねているのは『Dの手帳』であろう。
「Dの手帳」とは、プレイキャラの一人、記憶喪失の男「リングアベル」が持っている「未来の出来事が書かれた日記」である。この日記には、これから主人公達の下に巻き起こる出来事が書かれている公式のネタバレアイテムなのだ。その日記を読むか読まないかはプレイヤーに任せられている。当たり前になってしまうが、その日記を全部読んだとしても正式なネタバレにはならない。何故なら日記は散文で内容も第三者視点なので、目的地や出会う人間は分かるが、実際のイベントを味わう事は出来ない。
日記を読んでゲームを進めならが日記の散文をパズルのピースのように今に嵌めていく事も出来るし、全く読まないで進める事も出来る。誰も日記を読めと強要はしないのだ。これもまたプレイヤーの自由意志に任せている。
おまけに、FFの代名詞であった『飛空艇』も比較的序盤で入手でき、飛空艇を操作して世界中をウロウロする事も出来る。*3

『ノルエンデ村復興システム』が面白い。
主人公のノルエンデ村は大穴によって崩壊してしまう。その村を主人公が復興させるミニゲームみたいなもの。
村人を集めて村人に命令をだして武器屋や必殺技パーツショップを建て直し、よりよいアイテムを店頭を揃える為に店のレベルを上げていく。
店のレベルは最初は「1時間」で上がるが、回を重ねるごとにその時間は増えていくので、そこには大量の村人を動員させる必要がある。
村人はすれ違い通信でも出会えるし、一日一度ネットに繋げる事によって最大3人まで村に来てくれる。
3DSをスリープモード(ゲームをプレイしたまま蓋を閉じる)にしても村復興は行ってくれるので、寝る前に村人に頼んでおけば朝起きれば直っていたりする。(ようはソーシャルゲー)村の武具やアイテムはセーブポイント冒険者から買える。冒険者はボス前にセーブポイントとして存在する事が多いのでアイテムを充実させておくとボス戦が楽になる。またレベルを上げた武具の質は町の武器屋を凌駕する高品質なので村武具を推奨する。



総括。
まだまだ、友達の育てたキャラのジョブアビリティをつかえる『アビリンク』や声優さんの豪華さ。ARでの導入表現、キャラクターの愛くるしさ、シナリオが徹底的に王道RPGを意識した出来上がりなど。面白い点は沢山あるが、
オススメする点は、ココらへんである。


このゲームをプレイした多くの人が「これでいいんだよ」「これをまっていた」と歓喜の声を上げた理由は、このゲームがユーザーを中心に作り出してくれた、ただ一点だろう。
開発者の驕りで出来上がってFF13とユーザー重視のBDFF*4が同じスクエニから発売するとは世は皮肉まみれである。
もし、これを読んで「SFC時代のFFがやりたい」と一度でも思ったことがある方はまず体験版をDLしてプレイしてもらいたい。

ブレイブリーデフォルト - 3DS

ブレイブリーデフォルト - 3DS

*1:一応ジョブによる武器補正があるのでそれに合った装備の方が効率が良い

*2:10回技を使う、10回海回復魔法を使う等

*3:RPGなので序盤は行ける範囲が狭いけど

*4:正確には下請け会社シリコンスタジオ