黄金を抱いて翔べ

あらすじ:大阪で生きる6人の男達は、銀行の地下深くに眠る金塊を強奪する計画を建てる。

感想:
映画を観る前にTVで出演者が「撮影現場は殺気だっていた」と談笑していて、監督があの井筒和幸監督だもんね。とほくそえみながら劇場に入り映画が始まると最初のシーンからその「殺気」というものが肌に刺さるかと思うほど強烈に噴出していた。
対極に某邦画映画シリーズの映画撮影というのは演者が和気藹々としていて監督が言った演出にも演者が気軽に反論して脚本が書き直される事があるらしい。確かにその某邦画は観ている観客にもソレが伝わるくらい演者達の仲の良さが見て取れる。そうゆう関係を否定はしないが、その和気藹々っぷりがその邦画の最新作で内輪になりすぎて観客を置いてけぼりにしていた。
話を戻そう。
殺気立っていたこの『黄金を抱いて翔べ』は、その鋭気がクライムサスペンスとしての緊張感を盛り上げ、今年最高のサスペンス映画となった。
北川と幸田の登場シーンも下手に二人の関係を描写せずに始まり(私は最初二人はその口ぶりから兄弟だと思っていた)、話が進むにつれて二人の関係が薄っすらと分かっていく流れも無理矢理感がなくてよかった。
話のテンポも上記のように無駄な関係説明がなく進んでいくので速く心地よい。

悪い点をあげるなら、西田敏行の昔の写真の合成っぷりが酷い点だな、あの合成バリバリの写真で涙を流す妻夫木は無い。