悪の教典

映画の残虐な表現を楽しむ存在について、死を蔑む愚行であるとお思いの方もいるだろうが、そうゆう人は読まないで下さい。


あらすじ:不良生徒やモンスターペアレント、集団カンニングに、淫行教師などの問題を抱える東京都町田市の私立高校につとめる蓮実聖司は、有能で人気者だが裏では自分に都合の悪い人間を次々と殺害していくサイコパスであり、一部の生徒から疑われ始めていた。(wikipediaより)


感想(ネタバレ有):
あらすじが物語の大半を占めているのでストーリーの解説とか面倒臭いながら書こう。
前半では、クラス内での問題(いじめ・集団カンニング・淫行)などの問題に伊藤英明扮する蓮実聖司が向かっていく姿を描きつつ、蓮実聖司の姿勢に違和感を覚えた教師の釣井や一部の生徒が蓮実の真の姿を追っていく話である。サスペンス風に作られ蓮実の真の姿が少しずつ深海より浮上する魚のようにグロテスクに描かれていく姿は驚きと時めきを隠せなかった。
後半では、打って変わって凡ミスによって犯行がばれた蓮実が深夜の校内に残るクラスメイトと関連教師を皆殺しにするアクションバカ映画になっている。
この前半でのシリアスさと後半での「13日の悪夢」や「エルム街の悪夢」、「テキサスチェーンソー」を思い出させるスプラッターシーンの数々。「時計仕掛けのオレンジ」で主人公らは「雨に歌えば」を歌いながら老人に暴行を与えるが、蓮実は「マック・ザ・ナイフ」を校内に流しながらショットガンで教え子らを撃ち殺し続けるシーンなんて最高だった。また弓道部の男子との弓対ショットガンにも痺れた。
逃げ延びたクラスメイトによって蓮実は逮捕されるのだが、捕まった後も「精神疾患による責任能力の無効」を盾にとって狂人のフリをして逃げようとする時の踊りと口調。
前半のダークさはどこへやら後半の陽気なバカ映画にニンマリしていたら、スタッフロールになってしまい、あぁバカらしくて面白かった。と感想を頭に浮かべていたら流れてきたこの映画の主題歌がまた凄かった。
洋画では、その映画にちなんだ曲がチョイスされる時がある劇中曲やその映画のテーマになった曲や逆にテーマにした曲だ。邦画は大体がレコード会社のごり押しで売れている(売れさせようとしている)歌手の新曲がタイアップされるのだが。この映画ではTHE SECOND from EXILEの「THINK 'BOUT IT!」がえらばれている。ちなみに私はエグザイルは存在しか知らない程度の無知であるが、どうやらこの曲は11月7日に発売された新曲の模様だ。ようはレコード会社ごり押しのタイアップ曲だろう。そしてその歌詞に驚愕した。「やり直せる筈だと信じてみれば変われる」「もっとポジティヴになってLive your life」と映画の蓮実は信じたゆえに撃ち殺されてしまったクラスメイトへのダメだしのような歌詞に笑いが止まらなくなった。もちろん曲に罪はなく、歌詞や曲自体は素晴らしいものである。ただこのミスマッチというよりも何者かの悪意があるような組み合わせが面白かった。
スタッフロールで監督・脚本が三池監督だったので映画全体のノリの良さには大いに納得が出来た。個人的な意見では三池監督は日本で唯一の暴力描写を笑いに転換できる方だと思っている。(次点では深作欣二監督の息子深作健太監督が描いたエクスクロス)
総じてエンターテイメント作品として素晴らしい映画だった。「サイコ・サスペンス」と銘打っていたが、良い意味で裏切られた。伊藤英明さんの好青年・さわやかと言った雰囲気からかもし出す狂気というのも実にマッチしていた。海猿は今後新作が出せないみたいだから、こうゆう路線でも頑張ってもらいたいですね。


余談1.
最後の「To Be Continued」に観覧者の端々から「続くのかよ」と三村マサカズばりのツッコミが出て笑った。私もご多望に漏れず突っ込んだ。

余談2.
ハスミン無双(後半での蓮実の暴れっぷりをさした言葉)中に「ハスミンもってやれ!共学でイチャイチャしている高校生をヤッチまえ!」と心中でノリノリになっていたがハスミンも教え子とエロい事をしている事実に私は映画館を出た後に夜空に向かって「リア充爆破しろ!」と叫べずにはいられなかった。

余談3.
蓮実に対して、クラス内に平野耕太ポジションの存在がいなかったことがクラスの敗因。
デブがいなかったって意味じゃネーぞ!軍事とかそうゆう系統に詳しい奴がいなかったって意味だぞ!!