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あらすじ:日常生活には順応できないが、常人離れした知能指数(IQ)を持つ男、マックス・コーエン(ガレット)は自作のスーパーコンピュータを用いて日々株式市場の予測を行っていた。「世界に存在する事象のすべてはそれぞれ一つの数式で理解できる」と信じる彼の前に、ある日コンピュータが巨大な数字の塊を吐き出した。216桁のその数字には、かつて円周率(π)を研究していたマックスの師ソルも辿り着いていた。彼はその日を境に216桁の数字が持つ不可思議な魔力に取り付かれていく…。(wikipediaより)


感想:
ダーレン・アロノフスキー作品を観て心を砕かれよう』週間だったので、遡って日本で観れる最古の作品を観ようって事でTSUTAYAに駆け込んで小銭と引き換えに奪取した。

主人公は幼い頃に太陽を直視し続けた為に失明し、その後定期的な頭痛と共に天才的な頭脳を得る。彼はその能力を持論に当てはめて、世界の全てを数学によって理解しようと望む。以下は彼の持論である。

「1:数学は大自然の言語である」
「2:我々の周りの全ては数学によって置き換えられ、また理解することができる」「3:どんなシステムの数字もグラフにするとパターンが生じる」
「すなわち:大自然のあらゆるところにパターンは存在する」

彼をこの持論を確証させるべくコンピュータを使い人工物でありながらもっとも大きな不確定要素の株式市場の動向を完璧に予測しようとする。
ある日、パソコンがショートとともに吐き出した数列。
その時はただのバグかと思っていたが、その数列は彼が長年求めていた全てを数字で理解する為のキーワードだった。
そこからそのキーワードを巡って、相場師やカバラ教団の勧誘とのイザコザや、師匠との確執などがあって、まぁこの監督だから「お前的には幸せみたいだからそれでいいか」なオワリと成る。
かなり明るく内容を説明したが、ぶっちゃけ頭がおかしくなる様な映像が延々と続いたり、変な効果音が鳴り響いたり、グロシーンあったりと壮絶に辛い映画となっている。

それでも、数学を使って全てを理解しようとする話というか、世界の全ての謎を解いてしまった悲劇という作品を最近、「脳髄工場」や「預言者ピッピ」と読んでいたので内容は実に興味深かった。ジム・キャリー主演の”23”という数字に囚われる男を描いた「ナンバー23」をダーク一色にしたといってもいいかな。

面白いんだけど、勧めると精神を疑われる作品になっている。
面白いんだけどねー。

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余談1
イカロスの話や太陽を直視したせいで視力を失った話なんかは、太陽=神という思想を入れていたんだろうなぁ。観るたびに発見がありそうだけど、何度も見ていたら頭をやられそうで怖い。


余談2。
ダーレン・アロノフスキー監督を鬼才や天才と称する人がいるが、私個人としては「高度な変態」に思えて仕方ない…。