ヘイヴン−謎の潜む町 1stシリーズ

あらすじ:FBI捜査官のオードリーは、逃走中の凶悪犯を追ってメイン州の小さな町ヘイヴンを訪れる。どこにでもなる漁村に見えたヘイブンだったが、その町民はなんらかの災いによって呪いに罹っており、超能力を有していた。
オードリーは、町民が起こす不可思議な事件を解決しつつヘイブンに隠された謎を解き明かそうとするのだった。
ティーブンキング著「コロラド・キッド」のTVシリーズ化。

感想(ネタバレ有):
簡単にどんなTVドラマかというと、『宇宙人の出てこないご当地密着型Xファイル』みたいな話。
主人公であるFBI捜査官オードリーの登場から「モルダーといい、オリビアといいFBI捜査官のオカルト遭遇率と適応力は異常」と鼻で笑った。日本で言うなら公安が超能力者や怪人とかと戦うのか、とんだSPECですな。
どんな能力者と戦うの? と思いの方や、あーこんな奴いたわ。と思い出すために俺は全話メモッたのでココに記す。

  1. 身体の触覚が無くなる能力、天気を操る能力
  2. 悪夢を現実化させる能力
  3. 音楽を使って人の精神の箍を外す能力
  4. 怒りながら食べたものを因果律を越えて腐らせる能力
  5. セックスした男の寿命を吸い取って子供に与える能力
  6. 剥製を生き返らせる能力
  7. 描いた絵にモデルの運命を入れ込む能力
  8. 身体から分離した影が人を襲う能力
  9. 殺した人間に成り変わる能力
  10. 死者の最後に観る映像を見る事が出来る能力、パイロキネシス
  11. サイコメトラー
  12. 超振動で身体が震える能力
  13. 地割れを起こす能力

ざっと書いて目に付くのは、第3話の「音楽を使って人の精神の箍を外す能力」ですね。コレって、精神疾患を患った者が聞くと健常者に戻れるけど、健常者が聞くと狂人になってしまうってのは面白かった。医者のおっさんが、薬が原因じゃないかと必死になって自分の身体を使って人体実験を行っている、うらで黒人がピアノやギターで作りだしていたとしたら医者が不憫で不憫で…。
第4話の「食べたものを因果律を越えて腐らせる能力」は、怒って食物を食べるとそれと同じ場所で育った同じ食物を一瞬に腐らせるっていう保健所が浮き足立つ能力なのだが。こうゆう大量殺人が容易な超能力ってXファイルでもフリンジでも、終りには能力を封じられるか消失させられて。悪い結果だと殺されて終わるんだけど。このドラマの凄い所は、そうゆう能力者を容認したまま終わるって事なんだよな。だから、この回は能力者が「おれ、もう料理人辞めるわ、木工で暮らすわ」に、みんなが「せやな!」で終わる。
この能力者は悟りでも開かないと生活出来ないだろうに…。
第3話の能力者は、街中で音楽を奏でると人が発狂するから、心の病気を持った人間達と健常者がいない大海へと船で旅に出た。(これもどうなんだろう…)
第5話から、そうゆう周りの雰囲気に気付いたのか、生まれた子供と父親は近づくと寿命が奪われるから遠ざけようとしたり、第8話の「影が勝手に人を襲う能力」は、能力者を家に閉じ込めて終わる。
後半でオードリーが「この町の住民は、”災い*1”からの受難者であり被害者だから、犯罪者じゃないのだから全てを逮捕できない」と上司に進言するシーンからあるように。暴走する能力者は幽閉や追放するという村八分的終りが多い凄いドラマでした。
もちろん、能力の暴走によって自滅ENDするお決まりの回も搭載されている。
ある意味田舎っぽさというかスティーブン・キングらしさは出ている。
また、1stシリーズなのに、レギュラーのテコ入れの多さにも定評があり、老女の検死医が中盤であっさり亡くなり、待ってましたとその娘が引き継いだり。予知能力を持つ女が現われたら、予知能力なんて使われたら伏線回収や展開が面倒臭いと見たのかその回で亡くなる。それも背後で大爆発が起きただけで死ぬ。アメリカなのに爆破で死ぬ。
視聴者からの『死んでも剥製を生き返らせる能力」を持つ能力者で人間剥製を作れば生き返んじゃね?』という素朴な質問を打ち壊すために重要人物はバラバラにしたり地割れに落としたりと念入りに殺す方向に話が行く。

では、ストーリーはどうなっているかというと、「伏線?なにそれ?」と言った凄く適当で、何か謎が解けると町民は「俺知ってた」「私も知ってた」「あ。あれね」と相槌を打ち合って、主人公が「なんで言ってくれないんですか?!」という問いに「いや、なんとなく」「え?言ってなかったけ?」「教えるの嫌だったから」とはぐらかす。
どうとでも話が作れる素晴らしい物語である。

ここまで書くとかなり面白そうだとお思いの方へ、
なんと配給の角川書店がやる気ゼロなので2011年製のDVDなのに字幕しかありません。
吹き替え無し。
なんと字幕も適当につけたので主人公の「ちょっとやる気アルの?」に相手が「NO」と喋っていながら字幕では「ああ」と肯定する字幕が出る。
低脳の俺でも違和感が疼いた。(戸田奈津子訳じゃないと思うんだけど…)

面白いだろ。こんなに面白いTVドラマは久々だったぜ。

ヘイヴン DVD-BOX1

ヘイヴン DVD-BOX1

*1:特殊能力を持ってしまう呪い