脳男

あらすじ:
中部地方で名古屋の次に大きい愛宕(おたぎ)市で、連続爆破事件が発生する。
警察が容疑者のアジトに踏み込むとアジトは突如爆破する。爆心地には鈴木一郎という男が立っていた。彼はその供述内容から共犯と見なされ、精神鑑定を受けることになる。鑑定を依頼された医師・鷲谷真梨子は彼の真実の姿を探ろうとする。(wikipedhiaより)


感想(ネタバレ有):
感情が欠落した正義を執行するのみが存在理由と成り果てた青年「鈴木一郎」を演じた生田斗真の演技は良かった。
ヒロインで性善説を信じる松雪泰子の演技も真を捉えていて、さすがベテラン女優といった次第である。
この映画が「脳男」と銘打っているだけあって、「脳男」と呼ばれる主人公を中心に捉えて、現在の彼を形成された要因を過去から掘り下げる描写が多いのは仕方ないのだが、その脳男の歴史が映画全体の大半が取られている為に、現在起きている連続爆破事件へのアプローチが実に弱い。脳男との対比として登場するサイコパスの殺人鬼の過去も会話だけで紹介するのではなくちゃんと映像化していたら主人公と殺人鬼との対面にも盛り上がりが見えたのではないかと思う。
またラストの対決も、殺人鬼に持病というハンデがあるものの、脳男VS車とするよりも、面と向き合って肉弾戦なり銃撃戦を繰り広げた方が盛り上がったような。
病院にある爆弾を送る部屋に突入する爆弾処理班が、なんの躊躇もなくドアを開けた点は酷いのでアレは直した方が良い。プロだったらブービートラップの可能性くらい気を配れ。

映画全体では、それなりな邦画である。
邦画らしいBGMの少なさやテンプレみたいな殺人鬼の異常行動にやや眠気が溢れる事があったが、最後まで観れない作品ではなかった。