ドランのキャデラック

あらすじ:トム・ロビンソンの妻エリザベスは、ある日、偶然に殺人の現場を目撃する。犯人は、ラス・ヴェガスの冷酷なギャングのボス、ジェームズ・ドランだった。エリザベスはFBIからの身辺保護を条件に、ドランを告発する証言を行なうことに同意する。しかし、ドランの魔手は警護の隙をついて、エリザベスを死に至らしめてしまう。
ロビンソンのもとへ、死んだ妻の“幻影”が訪れ始める。エリザベスが語りかける言葉に背を押されるように、ロビンソンは復讐の計画に身を投じていく―


感想:
スーティブン・キングの短編が原作だけあってシナリオに無駄が無く固まっている。
復讐劇の主人公は陥れられた絶望の深さから、強固な意志を持って復讐に順ずるが。このトムはドランに対して激しい怒りや嘆きを持っているものの復讐という方法に戸惑いやリアリティを感じられず一線を越えられずにいる。
その甘さはドランに察知され、逆に暴力の応酬を受けその甘ったれた認識をバカにされる。
トムは妻を殺した男にさえダメ出しをだれたトムは真の絶望に目覚め、ドランへの復讐計画を練り始めるのだった。(続きは実際にご覧下さい。)
計画を準備中にトムは迷い・心が折れそうになるとドランを監視しして、奴への怒りを再認識するっていうクダリが凄くカッコよかったわ。
ドランから暴力を受ける公衆トイレの落書きにパニッシャーの髑髏マークがあったが。
トムは妻や子供を殺されても、パニッシャーのように踏ん切りが付けられない弱さを内包している所が、人の怖さと人の弱さを同時に描けるスティーブンキングらしかった。
最後の終わり方の後味が悪いのは、結局邪道な復讐方法を選んでしまったトムに神が与えた祝福(法的な復讐)は降り注がないという悲しみでしょうね。


映画のタイトルが原作どおりだからイマイチ目立たないけどこれは傑作だった。

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