ジャンゴ 繋がれざる者

あらすじ:奴隷のジャンゴは元歯科医の賞金稼ぎのドクター・キング・シュルツに誘われて、サディスティックでフランスかぶれの農場主カルヴィン・キャンディに奪われた妻のブルームヒルダを救おうとする。


感想:
上映時間が165分もあり、映画が始まるまで「タランティーノで西部劇だから、つまらなくなる事は無いだろうが………、なんだろうこの漠然とした不安」と少々センチメンタルになりながら入場し、そのセンチメンタルな気持ちを表すように買い占めたポップコーンやらフライドポテトを広げ、もし万が一つまらなくても食物のチカラを使って満腹中枢を刺激し幸福感だけは得よう。と万全の対策を供えたが。
蓋を開けれみれば、なんと傑作。
西部劇とは銃撃戦が始まれば10分もしないうちに拳銃の暴力によって勝敗・善悪が決まってしまう。それを体現しているのが、序盤のジャンゴとシュルツの出会いである。ジャンゴを売りたくない奴隷商人とシュルツの戦いは一瞬に終わり、勝利したシュルツはジャンゴを手に入れ、奴隷のジャンゴは自由人となる。
その時代特有の暴力が全ての問題に一瞬でケリをつけられる風景が紹介されているのだ。
しかし、その一瞬の勝敗結果は物語にとってはあまりに味気が無い。
その問題点をタランティーノは分かっているようで、ジャンゴとシュルツが出会ってからは派手な銃撃戦は無い。
シュルツのジャンゴの妻を手に入れる方法も西部劇らしくない交渉と詐術を用いた非戦闘的解決を求めるものだった。
それは、法に背き暴力的な解決を求めた賞金首達の末路を見続けてきたシュルツだからこの選択かもしれない。
ジャンゴとシュルツは、穏便にジャンゴの妻を手に入れようとする。
しかし、農場主のカルヴィンはその立場を使って権力を誇示し刺激を求める。
暴力の権化の交渉と姿無きチカラを持つ男が振り下ろす拳。


そして、終盤に近づくにつれてタランティーノの潜在する暴力シーンを撮りたい欲求があふれ出したのか。
打って変わり銃撃戦のオンパレード。
ジャンゴの銃が火を噴き、アニメかよ!と突っ込みを入れたくなるほど相手に銃弾がめり込む。正しく一騎当千
最後の爆破シーンでは大笑いしてしまった。


あぁなんて素晴らしいタランティーノ作品。
あまりに集中して食べ忘れていたジャンクフードはスタッフロール中に素早く処理した。


これは実に良いアクション映画であった。


余談。
ディカプリオの演技が凄い。と前評判を聞いたが、確かにディカプリオが俳優として自立していた。